story

□40m
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「こっち、こっち。もうねぇ、

ほんとに間違いなく一押しなんだよ!」



という渚に連れてこられたのは、陸上部が練習するグラウンドだった。



全員の頭に?が浮かぶ。



そのまま渚は青い髪の竜ヶ崎怜に視線を向ける。



「ほら、あそこ。これって運命だと思うんだ!」



その言葉にそれぞれが考えていく。


「中学で水泳部だったとか。」



「すごい記録持ってるとか。」



「全身柔らかい軟体動物とか。」




上から遙・江・名前と言っていく。




「名前だよ、名前!!」

と渚が力強くいう。



「名前?」


想定外のところから出てきて何も言えなくなる。


それでも渚は続ける。


「そう!!竜ヶ崎怜ちゃんっていうの!

僕たちと同じなんだ。男なのに女みたいな名前!」



渚は心底嬉しそうに興奮して、目を潤ませていう。



「そこ!?」



江が突っ込みを入れる。

間髪入れずに渚がうなずく。


そして江は怜のほうに視線を向けて筋肉を眺める。



「でも、確かに。すごい三角筋・・・・。」


目を輝かせた。



「そこ!?」


今度は真琴が突っ込む。

名前はその後ろでひたすら笑っていた。



「そんないい加減な理由でいいの?」


真琴は焦ったように言った。



「いい加減じゃないですよ。」

「そうだよ、マコちゃん。」


渚と江にそう返される。


「こういうのはフィーリングだよ。」



そのとき黙っていた遙が静かにしろというばかりに、飛ぶみたいだぞと言って視線を怜に戻す。



助走をつけて怜はとんだ。



それを見た真琴達は綺麗なフォームに釘付けになった。



「わぁあ。綺麗。」


名前は目を見開いてつぶやいた。


「あれなら飛び込みのフォームも綺麗そうだね」



と真琴が関心する横で江は目を輝かせた。



「はい!上腕二頭筋も綺麗!!」


そういう江にやっぱり真琴が突っ込む。





飛び終わった怜はマットの上で今の跳躍をぶつぶつと分析していた。





そんな怜に渚は目が離せなかった。
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