ShortStory

□小さな幸せ
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小さな幸せ





いつものように身体を水の間に滑り込ませ、水を感じながら泳ぐ。


この感覚、この時間は誰にも邪魔されない。

俺だけのものだ。





1000mほど泳いで少し休憩をしようとプールを上がる。

廉がこれに気づいていつものように飲み物とスイムタオルを渡しに来る。



「お疲れ様。今日はもう上がり?」



「いや、あと少し泳ぐ。」



「そっか。」


廉は去って行った。おそらく部室にでもいるのだろう。




泳ぎ終わり、着替えてから部室をのぞいてみる。

廉はいた。

音を立てないで近づき、空いていた前の椅子に座る。

目の前の廉は机に伏せて寝息を立ていた。


俺はただその寝顔を見つめて幸せを感じた。


いつも通りの日常の中で発生する小さな違いは、小さな幸せをもたらす。






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