不安定な欠片

□“馬鹿だな”っていう、顔が好き
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暫く抱き締めていると
徐々に赤く染まっていく
まんば君が目に入った

(本当に可愛いなぁ....)

そう思いながら
布に被われた
さらさらとした金髪を撫でる

私の行動に驚いたのか
まんば君は少しビクッとしたが
撫でられているのかと理解すると
その後は大人しかった


暫くまんば君の髪を
堪能していると

「......もう...いいか?」

そう弱々しい声が聴こえたので
流石に苛めすぎたと思い
まんば君を解放した
そこでやっと対面する形となり

『えっと....私は...審神者名宵月。多分ここの本丸の審神者...なはず』

後の方が声が小さくなったのは
自分でも自信がないからで
いくらこんのすけがあぁ言ったところで
刀剣男子達に審神者と思われていなければ
審神者とも名乗れない

自己紹介すると同時に
まんば君に向けていた目線は
どんどんと下に下がり
最終的には自分の足元を見ることになった

まんば君の反応が気にはなったが
まともに見ることができなった

(そもそも、始めましてで抱き着くって良かったの!?あの山姥切国広だよ?....ヤバイ..やっちゃったんだろうなぁ...)

自分の考えがどんどんと
悪い方へと向かう中

「.....お前のことは知っている。宵月。俺達の主だ」

そうまんば君の声が聴こえて
私は俯いていた顔を一気に上に上げた
するとそこには

「ずっと会いたかった」

そう微笑むまんば君の姿があった

『っ!!!!??』

その姿を視界に入れた瞬間
私はその場から崩れた

「っ!?大丈夫か!?」

急に崩れた私を
支えるためにまんば君が手を伸ばすが
私はペタりと床に座り込んでしまった

「主、一体どうし」

『まんば君...腰抜けちゃった』

まんば君にそう言うと
一瞬ポカンとした顔をしたが
再び先程のように微笑むと

「.......そうか」

とだけ口にした。


“馬鹿だな”っていう、顔が好き




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