不安定な欠片

□僕のせいで君が泣くなら
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「「「助けて」」」

暗闇の中で誰かの声が聞こえた
それはとても愛しい、愛しい
あの子達の声

「「「「「「「助けて」」」」」」」

泣かないで?
大丈夫。私がそばにいるから

「「「「もう、苦しみたくない」」」」

私が側に行かなくちゃ

そう思っているのに
体は酷く軋み言うことを聞かない

それでも
行かなければならない。

「どうして?」

その声が聞こえた瞬間
あの子達の声が止んだ

「どうして、苦しいのに行くの?」

まるで戸惑う子供のように
その声は尋ねる

守らなくちゃならないから

「どうして、守るの?」

大切だから

「っ!?.....どうして、大切なの?」

大切という言葉を聞いた"その子"は
泣くのを堪えるように尋ねた

『私の家族だから。ずっと一緒にいると言ったから。』

その言葉を発した時には
目の前に暗闇なんて無くなっていて
ただ、無機質な白が広がっていた

そこに不釣り合いな黒

私は徐にその黒へと
歩みよりそっと抱き締めた

『だから、もう一度会いに行くよ。まんばくん』

「.........主。」

時間溯行軍。
歴史を改変せし者
自分達が闇落ちするまでに
彼は思い続けてくれていた

『帰ろう。私達の本丸へ。皆で宴会しないと』

抱き締めながらそう言うと
彼は徐に私の背に手を回し
そっと抱き締めてくれた

彼の体が強ばって震えていたのを
私は忘れないだろう

そう思いながら
そっと彼の暖かさに目を閉じた


次、目を開けるときには
人としての生を再び授かる事を願って。


僕のせいで君が泣くなら



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