不安定な欠片

□常識なんて誰かが決めた偏見のうち
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『くしゅんっ.....寒い』


余りの寒さに目が覚めた。
審神者の部屋、
つまり私の部屋の窓からは
雪がちらついているのが見えた


雪?
この本丸は
雪がちらつくような地方に
属していなかったような気がする
そもそも、季節は夏のはずだ。

不思議に思いながらも
朝食の準備のために
布団から出て、準備を整えてから
調理場に向かった

調理場に向かう途中
廊下を歩いていると
辺り一面真っ白になっていた

寝間着は半袖だったが
流石に半袖で彷徨いたら
風邪を引いてしまう。
そう思い、今は長袖を着ている。

調理場に着くと
先にみっちゃんこと、
燭台切光忠がいた

『みっちゃんおはよー。早いね』

「主、おはよう。昨日まで夏だったのに。急に冬みたいになったから驚いたよ」

光忠に声をかけると
彼は苦笑いしながらそう口にした

昨日まで夏だったのだ。
それなのに....

そんなことを考えながら
手を動かしていると
いつのまにか、朝食が完成した。

「主、こっちは完成したよ。主の方は....って聞くまでもなかったね」

『私の方も完成したよー。広間に皆、いるだろうから、朝ごはんにしよっか』

広間に作った朝食を運び
皆で食べ始めた。
ちらほらと各々喋っていたが
話題は雪のことに変わっていた

「スイカ...主様と食べたかったです」

「急に冬みたいになったもんな」

五虎退がそう口にすると
粟田口の皆は揃って肩を落とした
薬研がポツリと言葉をこぼすと
皆が必死に原因を探すような
顔をし始めた

『原因を探すのは後にしよう‼先ずは、みっちゃんが作ってくれたご飯を美味しく食べy』

「何だこれは!!」

「何故、これ以上先に進めない!」

美味しく食べよう
と言おうとした言葉と被せて
何やら騒がしい声が聞こえた。

この本丸は朝食は
皆で食べると言う決まりがある
そのため、先程の声は
この本丸の中からではない。

つまりは.....

私はそっと座敷から立ち上がり
広間から出ようとした。
が。
それは
三日月宗近、山姥切国広に止められた

「主、何処に行く」

「様子がおかしい。俺たちが先に様子を見る。」

『えっと.....何かよく分からないけど。多分大丈夫だと思うよ?』

三日月達の忠告を無視した訳ではないが
そう口にすると
三日月達を含む
刀剣男子達が呆気に取られていた

その隙を見るわけではないが
三日月、山姥切に遮られていた
広間の障子を開けて
本丸の入口に目を向けた。


そこには、三日月の兜を被り
眼帯を付けた青い人と
オールバックにした顔に傷を付けた人が
本丸の入口...
否。
本丸全体を囲んだ結界を壊そうと
刀を構えている所だった

『あっ。....大丈夫じゃなかった』


常識なんて誰かが決めた偏見のうち





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