不安定な欠片

□そこに未来なんてなかったのに
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三日月、蛍丸、鶴丸、次郎、太郎
以外の刀剣全てが重傷になった

いや....
この五振りも後1打撃食らえば
重傷になる傷を負っている
それでも

「三日月、蛍丸、鶴丸、次郎、太郎!今日は演習よ!!他の審神者達に私の実力を示しに行くわ」

そう言って演習を告げるのだ。
この女は。
ただ、レア度の高い刀剣をつれている
自分を見てほしいだけ。
自分達をただの飾りだとしか思っていない。

あの女は審神者の部屋には
入れない。
あそこは厳重に
彼女が結界を強いているのだ

彼女以上の霊力があれば入れるだろうが
あの女は無理だったようだ

そのため
審神者部屋近くの部屋を
自分の部屋として使っている

あの部屋は元々
山姥切国広の為に彼女が作った部屋だった

それをあの女は
我が物顔で奪い取り
自室へと変貌させた


あの女を主と認めているものは
この本丸には誰一人としていない
しかし
この本丸にはあの女しか審神者はいない

「演習に行こうって行ったけど、何か政府からお達しが来てたの。だから、私が帰ってきたら行きましょう」

女がこちらに戻ってきた
音がするとそう口にした

政府からの呼び出しなら
暫くは、今日、一日位は帰ってこれない

「よいよい。お主も疲れておるだろう。ゆっくりしておいで」

「もう、三日月ったら。私のこと大好きなんだから」

私がいないからって寂しがらないでね。

そう口にしたあの女は
気色の悪い笑みを浮かべて
政府の元へと向かった


「三日月さん....」

「....部屋に戻るとするか、此処は寒いだろう」

心配そうに此方を見上げる
蛍丸に微笑み
部屋に向かって歩く

すると
先程あの女が開いた扉が再び開いた

光に包まれていて
誰が立っているのかすらわからなかった
そう。分からないはずだった

だが

『土煙やばっ!!げふっ!えっ!?なに!?こんなに埃っぽくなるの?」

光が消えて、そこにいたのは

『あれ?おじいちゃん?蛍ちゃんに、鶴さん、それに太郎と次郎?』

この本丸審神者、宵月だった



そこに未来なんてなかったのに
君が来たことで光が見えた




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