運命に抗う物語

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大きな変な色のキノコが生えている
広い場所に出ると
私は切り株に腰を下ろした

ここから出ようと進めば進むほど
場所がわからなくなり
戻ろうとしても戻ることが出来ない
まるで先程までいた道を
書き消したように....

そんなことを思いながら
夕暮れに変わり始めた空を睨んだ

歩き始める前は
あんなにも青々としていた空は
誰かに別れを告げるように
朱色に染まっている

正直、私は困り果てていた
ゲームをやっているから大丈夫という
甘い考えが大変なミスを犯してしまったからだ。
確かにストーリーもダンジョンも
全て頭に入っている
何なら今すぐ順に言ってみせようか?
というレベルで覚えている
だから簡単に出口にたどり着く。
そう思い足を進めたが...
現実は甘くはなかった。

進めど進めど風景は変わらず
終いには自分が上に進んでいるのか
下に進んでいるのかすら分からなくなった

あれやこれやと色々と考えを
巡られることにも疲れはて
瞼が随分と重力に逆らえなくなっていた
最後には完全に瞳を閉じて
そっとその身を夢の世界へと預けた

夢の世界へと旅立つ前に
誰かの声が聞こえたような気がした。




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