sunny spot

□03
1ページ/4ページ

オーナーにタチの悪いストーカーがつくことは珍しくなかったから
あの二人だってそうだろうと勝手に思い込んでた。

見栄が全てのヤクザ相手にあんな無礼をして、タダじゃ済まないと思ったけど
親玉の方…真島さんは、怒ることも咎めることもしなかった。




笑い飛ばす真島さんは、あの人にどこか似ていた。






あれから真島さんは、割と頻繁に店に来た。

部下や同僚を連れてくることもあれば、一人で遊びに来ることもあった。

特定の嬢をつけるわけでもないのに、いつも気前よく遊んでいって

あれだけ金払いがいいのに傲慢な態度をとることもなく、気さくで、しかも歳食ってる割に男前な真島さんに、嬢たちの評判はうなぎ登りだった。



俺は初めはそんな真島さんとは一切関わることはなかった。

俺が例の無礼をはたらいたからか、オーナーが真島さんの席に近寄ってはいけないと言ってきたから。


けれど、オーナーも真島さんが何かするような人じゃないと分かったからか、割とすぐに解除された。


酒や食い物を持っていくと、真島さんは「おおきに」と言って笑いかけてくれる。
たまに、くしゃくしゃと頭を撫でてくるが、それもいやらしさや小馬鹿にした感じはなく、真島さんなりのコミュニケーションなのだろうと思える程度で。

それ以上特に何があるわけでもなく、ただそれだけの関係が続いていた。













「なぁ、ちょっと付き合ってくれへんか?」




「…え?」





それだけの関係
だったのに。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ