sunny spot
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「お父様とお母様は日本人だけど、俺は2歳の時からイタリアにいた。日本語は、日本語ができる兄貴や弟から教わったんです」
「ほう」
「…兄貴たちは日本人と変わらねえくらい上手いって褒めてくれたんだけど、みんな変だって言うんです。何がちげえのかさっぱりわからなくて」
「なんやわざとやなかったんか。発音は完璧やけど、言葉遣いがな。女やのうて荒っぽい男の喋り方なんよ」
「…そう、なんですか?」
「まぁ、別にそれでも俺は可笑しない思うで。
お嬢ちゃんそないな性格やし」
話し始めたら、止まらなくて
最近日本に来たことや
チンピラからオーナーを守った縁でブルームーンで働いていること
オーナーに拾われなきゃ死んでいたかもしれないこと
真島さんに一方的に話し続けた。
「オーナーも、嬢も、ボーイもよくしてくれてる。みんな本当にいい人ばっかりなんだ」
自分のことも
大好きな人のことも
ずっと話してなかったから
誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
「…好きなんやなァ」
真島さんは、眩しいものでも見るように、すうっと目を細めた。
「真島さんも好きなんだろ」
「は?」
「ファミリー」
真島さんが連れてくる、部下や同僚。
ヤクザは擬似家族だと聞いた。
子や兄弟と言うのだろう。
「アンタ、兄弟や子といる時、優しい顔してるから。
みんなもアンタを慕ってる。
アンタが愛して、アンタも愛されているんだろ」
「…」
「アンタも良い人だな」
こうして、俺の一方的な話も聞いてくれるし。
真島さんは少しだけ頬を赤くして、「調子狂うわ」と呟いた。
その様子につい笑ってしまうと、バツの悪そうな顔をして。
真島さんとの会話は、楽しくて
心の底から笑って
時間はあっという間に過ぎていった。