sunny spot

□03
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「蓮ちゃん、やんな?」


店に飾る花や、雑貨を買い出しに出かけていた時に、後ろから不意に声をかけられた。


「…真島、さん」


走ったのだろうか。真島さんは若干息を切らしていた。


「…あの、なにかご用ですか」


この前の無礼を咎められるのか、と身構えたところ、真島さんはふーと息を吐き、いや、あんな、ともごもごと言い淀んだ後

ニコッと笑って





そして、声をかけられた。





「そこの喫茶店でお茶でもどうや?」

「…俺はキャバ嬢じゃなくてボーイで」

「知っとるっちゅうねん。何も店でサービスしろなんて言うてへんやろ」

「でも…」

「もちろん奢ったるで?」



大して話もしないし愛想もない俺なんかと一緒に店に入っても、つまらないだけだと断るべきだ。

でも、



そこの喫茶店



実はそこは通るたびに甘い匂いがして、皆うまそうにケーキを食べていて、ずっと行ってみたいと思っていた。

一人で入ることに特に抵抗はなかった が、一人ならばいつでもいけると先延ばしにしていた。

奢るという言葉も心を揺らがせて、それを見逃さなかった真島さんは「ええやろ?」とだめ押しで手を握ってきた。





「…じゃあ」






そういうと、真島さんは子供みたいに無邪気に、嬉しそうに笑った。
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