sunny spot

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30代だろうか、黒髪の落ち着いた雰囲気の美人だった。



「オーナーさん…!」


南が驚いた表情でそう言う。
この美女はどうやらブルームーンのオーナーらしい。


「何かあったんですか?」


オーナーは南を気遣うフリして、この子をさりげなく南から引き離す。

そしてチラッと俺を見て、そちらは…と聞いてきた。


「ああ、俺は真島組の組長の真島吾朗っちゅうもんや。
なんや、そのお嬢ちゃんにタチの悪い客や誤解されてもうたらしゅうてなぁ。けど、なんもしてへんで?」
「真島…さん…!?まあ、わざわざきてくださったんですね。失礼いたしました」

ぺこり、と俺に頭を下げると、この子ーーーー蓮ちゃんに「店のみかじめ料を納めてる真島組の方よ」と紹介した。
すると蓮ちゃんは、大きな目をさらに大きくして、え、と声を漏らした。

そして




「…あの…すみません、でした」



本当に申し訳なさそうな顔をして、俺と南に謝ってきた。



「すいませんですむとーーーーーぶッ」
「ああ、ええのええの。威勢のええ子は大好きやで」



横にいる南をぶっ叩いてそう言うと、オーナーがありがとうございます、と少し微笑んでそう言った。



「あの、ここでは何ですから、中へどうぞ。
蓮ちゃん、コーヒーの準備お願いできる?」
「あ…はい」
「ああ、ええよ」


ぽふ、と蓮ちゃんの頭に手を乗せてみると、予想に反して嫌がったり身をよじったりせず、ぽかんと間の抜けた顔をして。
それがまた可愛らしくて、思わず笑ってしまった。


「ここでええよ。みかじめくれれば別にもてなしなんせんでええ。この後も別んとこ取りに行かなあかんしな」
「え…っお、親父…!?」


オーナー目当てできた南が焦った声で俺を呼ぶ。



…これもまた、蓮ちゃんとは違う、「可愛い」と思うのは、親バカってやつなんだろうか。





「そんかわり、今夜また改めて、客として顔出さしてもらおうかのう。
何人か組員連れてくるさかい、席空けといてくれるか?」




そういうとオーナーはんは、笑ってお待ちしています、と言って

蓮ちゃんもそれに続いて頭を下げた。
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