lilac 2

□ホグズミード
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「ゾンコ♪ゾンコ♪」
「ナマエ、気をつけて」
人混みを器用にすり抜けながらスキップをするナマエをリーマスは急いで追いかける。
「あ、リーマス!
ところでゾンコってどこ?」
「……ナマエ、僕も初めて来たからわからないよ」
二人は適当な店の前で歩みを止める。
「誰かに聞けばいいかな」
「そうだね」
「あら、ナマエにリーマスじゃない」
二人が上級生に話しかけようとしているとリリーがちょうど通りかかった。
「あ、リリー!」
「ゾンコってどこだかわかる?」
「ゾンコ?
ここから真っ直ぐよ!……さっきポッターとブラックがいたわね」
「よし!行こう!」
二人はお礼を言うと直ぐ様向かう。
「ねぇ、さっきの見た?」
「酷かったわよね……」
「俺でもあんなことしないよ……」
走っているとそんな会話があちこちから飛び込んできた。
「ホグズミードであんなことしなくてもね……」
「何があったの?」
ナマエは気になり、すれ違ったレイブンクローの三年生のヘザー・オーウェルに話しかけた。
「あ、ナマエ!?
えっと、その……そこの裏路地で喧嘩があって……」
もごもごと話すヘザー。

通りかかったハッフルパフのエルヴィスと、レイブンクローのアシュトンはナマエを止めようとした。しかしナマエは彼女の指差した路地に行く。
「ナマエ!ジェームズたちが待ってるよ?」
リーマスがナマエの腕を掴む。
「……それに、喧嘩の現場に女の子が行くことは……」
「んー、じゃあリーマスも着いてきてよ」
「それは別にいいけど……
でもナマエ!乱入しないって約束してくれる!?」
リーマスはナマエが心配でたまらなかった。正義感の強い彼女が傍観しているだけなはずがない、そう確信していたからだ。



「ちびの癖に目障りなんだよ!」
「腰巾着が調子に乗んなよ」
「この前はよくもあんな事してくれたな!」
そこには四人くらいの上級生がいた。
横たわっている人に罵声を浴びせ殴りつけている。他の生徒はちらっと見ると見えないふりをして、関わらないように通り過ぎる。
「……ひどい」
ナマエが止めに入ろうとするとリーマスは掴んでいた腕に力を入れた。
「……でもリーマス!止めないと……!」
「ナマエ、君に危険な目にあって欲しくないんだ!……どうしたんだい?」
突然動きを止めたナマエをリー
マスは不安げに見つめた。
「ピーター……?」
ナマエは呟いた。
そしてリーマスと共に上級生を押し退け、横たわっているピーターに駆け寄る。
「ピーター!大丈夫!?」
横たわる彼の上半身を起こす。ローブも身体もなにもかもボロボロだ。
「おーっと、ナマエが登場だ」
「ざまぁねぇな、腰巾着」
上級生達はピーターをもう一度蹴るとせせら笑った。ナマエは怒りに震えながらにらみ返す。
「……よくも……っ」
「おー、怖い怖い。ナマエちゃん、君はニコニコ笑って見てりゃいいんだよ」
腕を掴まれる寸前、ナマエは杖を向けた。
「……早く私たちから離れて」
「あれ?ナマエちゃん、先輩にモノを頼むのに、杖を向けちゃうのー?」
杖を向けられてもお構い無しにナマエの腕を強く掴む。
「痛っ」
さらに強い痛みに杖を握っていた手から杖がからんからん、と切ない音を立てて地面に落ちる。
「そうそう、それでいいんだよ」
腕を強く引き、ナマエはピーターから引き剥がされそうになる。
「ナマエ!僕がなんとかするから!戦うなんて無理だ!謝ってピーターと逃げて!」
リーマスが叫ぶ。
「嫌だ……!」
「……大丈夫だって、俺たちだって女の子には手を挙げない」
1人の上級生がリーマスの肩に手を置いた。
「女の子には、ね」
次の瞬間リーマスに向けられた杖。
──リーマスが危ない。
ナマエは掴まれていない方の手を伸ばす。
「やめてっ!!!」
叫んだ瞬間だった。

「うっ」
「ぐあっ」

突如吹き上げた強い風に、上級生が吹き飛ばされた。

「……え?」
「……な、何だよ!?今の!?」
遠くで倒れた上級生たちは腰を抜かしている。


「……なに、今の」
杖も何も持っていないのに人を攻撃した。

「……ナマエ!行こう!」
リーマスはピーターを負ぶって、ナマエを引っ張りながら人混みをかき分ける。
「……う、うん」
何が起きたのか全く分からなかった。



ナマエとリーマスはすぐにホグズミードを出て学校に駆け足で戻ると、ピーターを医務室に連れていった。
マダム•ポンフリーは処置をするので2人を外へ出した。
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