lilac 2

□クリスマスパーティー
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次の日の朝、やや寝坊したが起きることはできた。談話室で眠気眼の3人と合流し、リーマスを迎えに病棟へ向かう。途中で食堂に寄って、屋敷しもべ妖精から果物をもらうのが最近の習慣だ。

3人は周りを確認し、誰にも見られていないことを確認すると病棟に入る。
「リーマス、おはよう」
リーマスは一番近いベッドで横になっていた。
「……おはよう」
目の下にはクマ、頬には軟膏をたっぷりと塗られていて、手足には薬を染み込ませたガーゼの様なものが包帯で固定されている。誰が見ても痛々しい様子だった。
「体調は?」
ジェームズはベッドの脇に座った。
「昨日よりは元気さ」
リーマスは気丈に笑顔を作った。
「今回も派手にやったな」
「すごく痛そうだよ」
シリウスは傷口を指さし、ピーターは悲しそうに眉を下げた。
「処置のおかげで見た目より痛くはないよ」
リーマスが頬の傷口を覆うガーゼをはがそうとしたので、ナマエは慌てて手を掴み、止めに入る。
「だめだよ、ちゃんと治るまでつけてないと」
「……ごめんなさい」
リーマスは慌てたように顔を背けた。
「ところで!今日はホグズミードの日だけど何する?」
「三本の箒!こんな寒い日はバタービールだろ」
「僕も!」
「リーマス、行けそう?」
「もちろん!楽しみだよ!」
「もうクリスマスか〜」
ナマエは3本の箒の窓から雪が降り積もる外を見つめた。店内はホグズミードに来た学生で大賑わいだ。
「シリウス、今年はご実家に帰らなくていいのかい?」
ジェームズは積もっていた雪が溶けて、濡れた前髪を気にしながらシリウスに問いかけた。
「俺は頼まれても帰るつもりはないな。そういや、珍しく今年はあいつも帰らないらしい」
シリウスはニヤリと笑うとバタービールを5つ頼んだ。
「じゃあ今年は僕ら2人だけが帰るみたいだね」
リーマスの言葉にピーターは頷いた。
「え!リーマスとピーターは帰っちゃうの?」
「親から手紙が来たんだ!パーティーに気合い入れてるみたい」
ピーターはナマエに嬉しそうに話す。
「そっか!それは楽しまなきゃだね!」
ナマエはふと、もし両親がいたらクリスマスはどのように過ごしていたのか考えそうになったが、考えないように笑顔を作った。
「ナマエ〜、寂しいとか思ってる?僕とシリウスがいれば退屈なんて絶対にしないだろう?」
ジェームズはナマエの髪の毛をくしゃくしゃにする。
「当たり前だろ!今年はどんな悪戯をする?やっぱりフィルチの部屋に入り込んで靴下いっぱいのレタス食い虫をプレゼントするか?」
「悪くないけど却下だよ、シリウス。レタス食い虫はナマエのことが大好きだからきっとフィルチのところに居てくれないさ」
「……もうその話はやめてよ」
レタス食い虫に好かれ、魔法生物学でトラウマを植え付けられたのはそう遠い昔の話ではない。ナマエとピーターは思い出して吐き気を催していた。
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