lilac 2

□バレンタイン
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夕食を食べ終わり大広間でゆったりと過ごす。ナマエは鞄の中に押し込まれたものを取り出して、紙袋に入れ直していた。
「ナマエ、すごいね!」
ピーターは傍らでシリウスが女子から貰ったお菓子を、処理してほしいと言われて食べている。
何となく周りにいるほかの女子の視線がピーターに対して冷たいのは気のせいではなさそうだ。
「……シリウス、見えないところでやった方がいいと思うんだけど?」
「そうか?別に貰ったら俺がどうしようと勝手だろ?」
「じゃあ、好きな女の子にプレゼントして、その子が他の女の子に横流ししても同じことが言える?」
「は?好きな女もいなければプレゼントもしないから分からないな」
ナマエとシリウスが視線で火花を散らしていると、リーマスが割って入った。
「二人とも落ち着いて」
「ナマエ、シリウスには生まれつきデリカシーがないんだ、仕方ないよ」
続いたジェームズの言葉にナマエとリーマスは笑う。
「おい、ジェームズ!お前が言えるのか!?」
「僕はそこらへんきちんとしてるからね。なんせ生まれながらの紳士だから」
ジェームズの発言に4人以外の周囲のグリフィンドール生もくすくすと笑った。
「生まれながらの紳士は糞爆弾を撒き散らしたりしないだろー!」
アレックスが豪快に笑いながら言った。
「よく言えるよ、生まれながらの紳士だなんて。
……これって私宛かな?」
ナマエは笑いながら手元にあった1枚の封筒を開けた。途端に爆発音が響き煙があがる。
「……ジェームズ、シリウス、どっちが仕掛けたの?」
煙で噎せながら二人に聞くと二人ともキョトンとしていた。
「違うよ、僕たちじゃない」
「そんなチープな悪戯しないぜ」

爆発した封筒の破片がナマエの目の前に落ちる。
「ナマエへ……?」
「兄弟、穏やかじゃなさそうだよ。僕らが今まで水際対策してたんだけどなぁ」
「身の程知らずな奴もいるんだな」
ジェームズとシリウスは少し怖い顔をして周囲を見渡している。
ナマエは嫌な予感しかしない、そう思った。


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