lilac 2

□雪
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「じゃあナマエ!また!」
彼は馬車に乗り込むとこちらに向かってウインクをしてきた。ナマエは手を振って見送る。
「ナマエ、エイブリーとこんなに仲良かったの?」
「……いやぁ、あんまり……ほとんど話したことないかな」
「彼はそんな風には思っていなさそうだけどね」
リーマスの言葉にナマエは苦笑いを浮かべる。

そんな時、ちょうど角からシリウスが現れた。
「あー、帰りたくねぇ」
周りにいた女子はきゃっきゃ騒ぎ出した。シリウスは恨めしそうにこちらを見た。
「いいよなぁ、お前たちは」
ナマエとリーマスはにやっと笑う。
「何もすぐ帰ってくればいいじゃん」
ナマエは適当に言った。
「そうもいかないと思うぜ。なんなら俺を閉じ込めて学校に返さないかもな。『ブラック家の恥だ!』って」
「そっか……じゃあ、シリウス元気でね」
リーマスは涙を拭くふりをして、手を振った。
「もうお前ら嫌い……ピーター、そろそろ行くか?」
「うん、行こうか!……うわぁぁあ!」
ピーターが階段を降ろうとした時、持っていたトランクが開いてしまい、中身をぶちまけた。
「あぁ、もう、ピーターったら……」
近くに落ちたぬいぐるみを拾う。
「あ!見つけた!親友よ!」
そんなところにジェームズが現れる。何かを手に持っていた。
「仮に家に閉じ込められそうになるなんてことがあったら、これを使ってよ」
明らかに形状が花火だ。ナマエはクリスマス休暇の間にブラック邸が爆発して消えてしまわないことを願った。どうやら隣のリーマスも同じことを考えているらしい。
「サンキュー!」
シリウスは嬉しそうにそれをポケットに突っ込んだ。ジェームズは魔法でピーターの荷物をトランクに詰める。
「おい、ピーター大丈夫か?」
「うん!ジェームズのおかげで……よいしょっ」
ナマエ、ジェームズ、リーマスは二人に向かって手を振る。
「じゃあなー!」
「休暇中に手紙書くね!」
二人が無事に馬車に乗ったことを確認すると、3人は手を下ろした。
「寒いし、寮に戻ってチェスでもやろうか!」
ジェームズの言葉に2人は頷く。
「よし、じゃあ……」
「あの……!」
今日はどうも後ろから話しかけられることが多い。振り向くとそこには意外な人がいた。
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