lilac

□クリスマス
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もうすぐクリスマス。
十二月半ば、ホグワーツは白い雪に覆われている。


グリフィンドールの談話室で5人は暖炉の前の席で暖をとっていた。
先程まで校庭で5人は雪合戦をしていたので、体は芯まで冷たくなっている。



5人が一緒に何かしている、その光景はいつの間にか当たり前のものになっていた。

ナマエはもう、ジェームズにもシリウスにも嫌悪の感情は抱いていなかった。というのも彼らは友情には厚いからだ。


「ナマエはクリスマス休暇は家に帰える?」
ピーターが椅子にだらりと座りながらナマエに聞いた。

マクゴナガル先生がクリスマスに寮に残る生徒のリストにナマエの名前をあらかじめ書いていたので元から決まっていた。

「家には帰らないよ」
というより、家がない。
ホグワーツがナマエにとっての家なのだ。

「じゃあ、みんないるんだね?」
ジェームズはそう言うと、にやりと笑った。
「面白いことしようと思ってるんだ……」
「えぇ!?何するつもりなの?」
ピーターは身を乗り出して聞いた。
しかし、ジェームズはにやにや笑うだけで教えようとはしなかった。






待ちに待ったクリスマスの朝。
ナマエは談話室にかけおりた。
「メリークリスマス」
「メリークリスマス!」
ナマエは4人ににこやかに返した。

周りを見るとほとんど人はいなく、みんな家に帰ってしまったのだろう。

「あ、そういえばプレゼントはどうだったんだい?」
ジェームズはにやにやしながら聞いた。
「俺は金だった」
「僕はチョコレート」
「僕は百味ビーンズだったよ!」
「……ナマエは?」
「……私?
私は(ハグリッドから)ヌガーをもらった!」
ナマエはにこにこ笑いながら言った。
「じゃあ僕からみんなにプレゼントがあるんだ。
でもここじゃ見せられないな……」
ジェームズはひそひそ声で言うと、手招きをした。
ジェームズが歩き出した方向は男子寮だ。
「ナマエはまずいんじゃないの?」
ピーターは不安そうに言ったが、全員聞こえないふりを決め込んだ。

ジェームズ達の寝室に入ると、ナマエはきょろきょろ見渡す。

女子寮とベッドなどは大して変わりはない。何か違いがあるとすれば、少し散らかっていることぐらいだろうか。

「で、プレゼントって?」
ジェームズを見ると、トランクから何かを引っ張り出している。
「何だ?それ」


ジェームズはそれを勢いよく引っ張り出した。

銀色のマントだ。

「……僕からみんなに驚きをプレゼントさ!」

ジェームズはそう言うとマントにくるまった。
その瞬間ジェームズの姿が消え、四人は息を呑んだ。

「透明マント!?」
ピーターが叫んだ。
「えぇ!?すごい……!」
リーマスも感心している。
シリウスも好奇心に満ちた顔でジェームズのいた場所を見た。
「正真正銘の透明マントさ!
僕、パパからもらったんだ!」
ジェームズはマントから首を出した。
「うわっ!生首!」
ジェームズはナマエの反応を見て笑うと、マントを脱いだ。
「これがあれば色んなことができるよ!
でも、みんな入れるかな……」

一旦、みんなで透明マントにくるまってみることにした。

いくら1年生で体が小さいからといえ、5人はギリギリ収まる程度だった。
激しく動けば足元は見えてしまう。

「うーん、まあ入れたってことだよね」
「一応な」
シリウスは苦笑いした。
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