lilac
□追いかけっこ
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「ナマエ!待てぇぇぇえ!」
「何なのぉぉぉぉお!?」
何故だろうか。
この前の爆発物を投げつけられた事件以来、ジェームズがよく接触してくる。しかも、積極的なんてものじゃない。
実際にナマエは今、廊下を追いかけ回されている。
狂気の沙汰だ。
「何で追いかけてくるの!?」
「逃げるからに決まってるじゃないか!!」
「答えになってない!!
何か用があるなら言って!」
「仲良くなりたい!」
ジェームズは仲良くなりたいの一点張りだ。
ナマエはジェームズを撒くと自分なりに見つけた寮までの近道を通って、寮へ戻った。
「ふぅ、疲れたー」
「あ、ナマエ。
おかえり」
「おかえり!」
リーマスは平和に本を読んでいる。
ピーターはその隣に座っている。
ナマエもその隣に座って呼吸を整えた。
「ナマエ!」
「うわっ」
すると、先ほど撒いたはずのジェームズに突如後ろから覗き込まれた。
「……な、何?」
「分かってるくせにー」
ジェームズはにやにや笑うとナマエの隣の席に座った。
ジェームズの接触にナマエは疑問に思いつつ、不気味にも思っていた。というより、あまり関わりを持ちたいとは思えなかった。
「え?何のことかさっぱり」
リーマスに助けを求めると、持っていた本を読み出してしまい目を背けられた。
「……ナマエ!僕だけを見て!」
ジェームズはナマエの前に回り込むと肩を掴んだ。
「は!?ちょ、意味わからない!」
「見るんだ!」
「え、何か……嫌だ……!」
ナマエはジェームズを振り切ると、談話室から逃げ出した。