lilac 2

□有名人
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「あ!ナマエだ!」
「え?誰?その人」
「知らないの?この前のクィディッチですごかった……」
「あぁ!思い出した!」

すれ違った生徒たちは皆この話をしていた。日にちが経てば言われることもなくなるだろうと思っていたがそれは全くの間違いだ。現に二週間が経とうとしているのにどこを歩いてもこそこそと(結構な大音量で)言われる。

「今の人達もナマエのこと言ってたね!」
ピーターが嬉しそうにはしゃぐ。
「そうだね、ナマエの活躍は本当にすごかったからね」
リーマスはうんうんと頷いた。
「ナマエってば一気に有名人!この学校に知らない人はいないんじゃないか!?」
ジェームズが嬉しそうに言う。
「僕たちの仲間入りだ!ねぇ、シリウス?」
「割と前からナマエも騒がれてただろ。俺たちと一緒にいる女子なんて他にいないし、なんせ目立つからな」
「やだ……私は平穏な学校生活が送りたかった……」
そんなナマエを見てジェームズは肩を回した。
「結構人気者ってクセになるよ?今に見てなよ!次のホグズミード行き!」
この前のハロウィンのころのホグズミード行きはクィディッチの練習で潰れてしまった。なので今回が初めてのホグズミードだ。


そんな話をしているうちに変身術の教室に着いた。それからすぐに授業が始まる。複雑なノートを取りそれからティーポットを渡される。

ナマエは憂鬱そうな表情でティーポットを見つめた。
「普通にお茶が飲みたい」
「……あ!先生!変わりました」
前の席のジェームズが嬉しそうに手を上げる。ナマエはダメもとだとわかっていながらも杖を振った。
「……何も変わらない……か」
ティーポットはティーポットの形のまま机に乗っている。ジェームズの陸亀を見たあとに先生はこちらを見た。
「ナマエ」
「はい……」
目を逸らしながら返事をすると先生はティーポットを持ち上げた。
「よく見なさい。分かりますか?」
お説教だと思いゆっくりと顔をあげた。するとティーポットからは尻尾のようなものが生えている。
「……あれ?何か……」
「おそらく尻尾です。あと一歩です。頑張りなさい」
「……はい!!!」
勢い良く返事をする。変身術に希望を見い出せそうな気がした。
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