lilac 2

□亀裂
1ページ/7ページ

「今年も優勝杯は頂く予定だ!みんな分かってるか!!」
談話室の片隅にて、烈火の如く熱くなっているアレックス。
「わかってるわよ」
メリッサはもう何度も聞いた話に冷めきった表情で答えた。


9月も半ばを過ぎ、やっと4年生の授業にも慣れてきた。昨年度優勝したグリフィンドールのクィディッチチームは10月末に控えた今年度初めての試合であるスリザリン戦のために、毎週末クィディッチで予定が埋まっている。

「今年もギッチリ予定入れられてるな」
「こうすれば僕らが悪戯する余裕がなくなると思ってるんだよ」
「大きな誤算だね」
シリウス、ジェームズそしてナマエはアレックスに聞こえないように呟いた。アイリーンは申し訳なさそうに眉を下げる。
「本当にごめんね……お兄ちゃん、ああなったら止められないんだ……」
「あぁ、知ってる」
「むしろ止まった状態の彼を見たことがないね」
シリウスとジェームズは眠そうに欠伸をした。
「何度も言うけど、4年生の君たちには期待しているんだ!!もちろんメリッサ!それにバジル!!」
「アレックス、ところで今年の選抜はどうする?例年通りならそろそろ始めてもいいと思うんだけど」
バジルはアレックスの話は半分聞き流しているようで、練習について書き記したノートを見つめながら呟いた。
「あぁ、それなら今週末に競技場の使用許可をもらったんだ!!」
「じゃあその時にやろう。一応掲示板に張り出すけど、みんな呼びかけておいてくれると助かる。アレックス、あとなにか話し合うことはあったかい?」
バジルが話の流れを作った途端、作戦会議という名のアレックスの熱弁が終わりを告げた。


「ファーガソン、君は目立つし顔が広い。呼びかけ頼むよ」
バジルの言葉にミランダが眉を吊り上げた。
「何よ、文句ある?……まぁ、あなたみたいな地味で陰気じゃなくて私は華やかだから知り合いは多いわ!ね、シリウス?」
「え?」
ハッキリと物事を言いがちなバジルと、ミランダはあまり性格が合わない。シリウスを巻き込んでバトルになる前に、とナマエはミランダの腕を掴むとアイリーンと共に寝室へ向かった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ