lilac 2

□飛んで火に入る……
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ホワイトデーも終わり、3月も末。まだ、気温は低く廊下の空気は冷たい。
ナマエは魔法史終わりの眠気と戦いながら廊下を歩いていた。
「……おっと!ピーター気をつけて!」
廊下を歩いていると、足元に釘が落ちていた。一気に眠気も覚めて、ピーターの腕を引く。
「わぁ!危ない!」
踏み出した足の着地点を失い、片足立ちの状態のピーターはバランスを崩して大きくよろけた。
「あっ!待ってピーター!さらに危ない!!」
そう伝えたが間に合わなかった。ピーターの尻の着地点には画鋲が散らばっていた。
彼の悲痛な叫びが廊下に響き渡った。



「ったく、ピーターはどんくせーな」
「なんか最近、運が悪いよね、ピーターの」
病棟の外でシリウスとナマエはピーターを待つ。
「この前はバケツひっくり返して水被って、その前は鞄が破れて階段で全部ばら撒いちゃうし……」
指折り数えるナマエ。シリウスはバレンタインの時のあの手紙のことをずっと気にしていた。そして、今も警戒している。
「……お前、平和でいいな」
もしかしたらピーターに起きている不運は本来はナマエを狙っていたものである可能性があると。だが、それを伝えたらナマエのことだ、1人で行動するようになりかねない。
「え?平和?ピーターのお尻は穴だらけなのに?」
「……まぁ、いいや」
シリウスはため息をついた。
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