lilac 2

□あの頃と変わらず
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クリスマスが終わり、シリウスとピーターが帰ってくる日。ナマエはなんとなく、シリウスやレギュラスとの距離の取り方が分からなくなっていた。
オリオンにお礼の手紙を書いたので、届けるためにふくろう小屋まで来たが、かわいい動物を見ても全く心は落ち着かなかった。


「(……思い出したこと、言うべきかな)」
朝からそればかり考えていた。正直、自分が彼の立場だったら言って欲しい、かもしれない。だがシリウスの場合、3年も共に過ごしたのに、今更言われたらムッとしてしまうかもしれない。レギュラスに対しても言おうか言わまいか、それも迷う。

「……あぁぁ〜」
「……ミョウジ、ついに頭がいかれたか」
振り向くとスネイプが分厚い本を片手に、哀れみの目でこちらを見ていた。
「うわっ、スネイプ!なんでここに!?」
驚きのあまり飛び上がるとスネイプは眉間に皺を寄せた。
「……人を幽霊みたいに扱うな。今日はクソポッターは連れてないのか?」
「寮にいるんじゃないかな。……はぁ」
ため息をつくと、スネイプは体を仰け反らせて驚いた。
「お、お前に考える脳があったのか……!?」
「……はぁぁ」
「……本当に悩んでいるのか」
「まぁね」
荒れた髪の毛を手櫛で梳かす。
「ねぇ、スネイプ」
「何だ」
「……もしも、リリーに自分の事を忘れられたらどうする?」
スネイプは真っ直ぐナマエを見た。
「魔法なりなんなり使って思い出させる」
持っている分厚い本の背表紙に『闇の魔術大全集〜初級編〜』と書かれていて、ナマエは妙に納得した。
「うん、スネイプらしいや」
「……お前ならどうするんだ?」
「私なら……」
考え込んでいると、勢いよくふくろうが窓から入ってきた。
「うわっ」
「……お前なら考えるより先に突拍子もないことをしそうだ。そして相手が思い出したら胴上げをしそうだな」
スネイプは鼻で笑った。
「……そうだね……うん、そうだ!あー、なんだかスッキリした!ありがとう、スネイプ!」
ナマエはへらっと笑うとふくろう小屋を出た。スネイプは不思議そうにしていた。
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