lilac 2

□雪
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12月の始まり、ナマエは暖炉の前で暖まっていた。
「今日も寒いね」
リーマスはナマエの隣に座ると本を読み始めた。
「……それ、何の本?」
「これは……「うぉぉぉぉぉぉぉぉお!」
リーマスの声が叫び声でかき消される。誰かと思えばグリフィンドールが誇るハンサムボーイ、シリウスである。階段を滑るように下ってきた。
「……シリウス、うるさいよ」
リーマスが珍しく不貞腐れたように言った。
「聞いてくれよ!呼び出しだ!」
「女子から?そりゃあ良かったねー」
ナマエは雑に流すと興味がなさそうに暖炉の方を見つめた。
「女子!?ババァだよ!それも特別性格の悪い!」
キョトンとしているとジェームズがピーターと階段を下りてきた。
「お母様からお呼び出しだってよ。クリスマスはお家で過ごすそうだ」
「僕も今年は家で過ごすんだ」
ピーターが笑顔で言う。家庭環境によってこうも帰省に対する反応が違うのだ。
「あぁー!嫌だ!……誰か入れ替わらないか?」
「「「「嫌だ」」」」
「……冷たいんだな」
シリウスは4人を見つめた。




「みんな帰っていくね」
「そうだね」
「蟻みたい……」
今日はクリスマス休暇を家で過ごす人が帰る日だ。
ナマエはリーマスとピーターと玄関ホールから外を見ていた。見送りに来たのだ。
「ナマエー!」
後ろから声が聞こえたので振り返る。
「……誰だっけ?」
見たことがある。しかし、名前が出てこない。
「今から家に帰るんだ」
「……あの、すごい悪いんだけどお名前……」
「エイブリー、何か用?」
リーマスが聞いた。微笑んではいるが目が全く笑っていない。ピーターはリーマスを見て小さく悲鳴を上げた。ナマエは名前に納得した。スリザリンの同学年だ。
「関係ないだろ、ルーピン。
ナマエに用があるんだ」
リーマスの笑顔が明らかに引き攣った。
「一体何でしょう?」
ナマエは分かってしまった。リーマスはエイブリーが苦手らしい。早く話を終わらせようとする。
「手紙出してもいい?」
「いいよ」
「本当!?」
「あ!馬車行っちゃうんじゃない?ほら……」
馬車から身を乗り出してスリザリンの男子が叫んでいる。
「エイブリー!もう行くぞ!」
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