作品3

□2014☆夏企画
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リクエスト内容
〔クールでオチャメで謎なイゾウ隊長の色気がチラつく日常〕





海と自由。
それから美味しいサッチのご飯と
皆で飲む格別なお酒。
海賊ってなんて素敵なんだろうって
毎日思うのはモビーだから。




「ナツコー!どこだぁ?お前の素敵なサッチお兄さんが美味しいご飯を持ってきましたよーっ?」


「あぉぉぉん!!!!」


「おっ、よーしよしよしよしよしよし」


「ぎゃはっ、サッチ、くすぐっ、たぃ」



甲板の隅で酒樽に隠れて昼寝していたら
すっごい良い匂いと共にサッチが私を呼んで
なんたらの犬みたいに飛び起きた私は
にっこにこなサッチの胸に飛び込んで
前菜宜しく撫でまわされ、額にチューされた。


「腹減ってんだろ?」

「うん!」

「ウシッ、お上がり。」

「サッチ大好き、いただきますっ!」



パンッ、と手を合わせ
サッチに教えられた通りに挨拶して
一口目を頬張った。



「まーたお前ぇは下らねェ事ナツコに仕込みやがってよい。……命が惜しくないのかねぇ。」

「まふほ!」


「あー、ナツコ。口に食い物入ってんのに喋っちゃだめだよい。……うまいか?」


呆れ顔でやってきたマルコが厳しい顔してサッチに
お小言を言って、それから私を優しく笑いながら
ちょっとたしなめた後、頭を撫でてくれた。


「あー!!!ナツコだけ旨そうなモン食ってるじゃねぇかよー。ずりぃぞ、兄ちゃんにも寄越せ。」



匂いにつられて寝起きみたいな顔をしたエースが
そんな私とマルコの間に割って入ってしゃがみこみ
燕の雛のように口を開けて「あーん。」って言うから
私は手にあったご飯をスプーンで掬って
ゆっくりエースの口内に差し入れてあげた。



「んっめぇ!!!」

「でしょ、でしょ?まだいる?」

「おお!」


嬉しそうに笑ったエースが口を大きく開けた時
私の後ろからズドン!と爆音がして、
それからエースが呻いて倒れると
マルコとサッチが仲良く声をあわせて
「「あーあ。……馬鹿エース……。」」と言った。



「痛ってぇな!誰だよ、コノヤロウ!」


「……アァ、悪ィ。手元が狂った。」



後ろからザッザッと音がして、
振り向けない位重々しい空気を感じ
生唾をゆっくり咽下すると頬を汗が落ちた。


「狂った。じゃねぇよ!!俺がロギアじゃなかったら死んでるぞ?!ホラ!ここっ!脇腹貫通した!」


「や、やめとけよいエース。」

「そうだよ馬鹿、お前が悪ィわ。」



冷や汗のような苦笑いのような顔で
エースを落ち着かせようと抑えるマルコに
サッチまで調子を合わせて頷いて
私は手にスプーンを握ったまま動けない。



「……腹ァ、減ってたのかナツコ。」


「……い、イゾウ……たいちょ……ぅ。」


「何だ?泣きそうな顔して。」



つーっと後ろから抱き込むように私の顎を撫でて
それから耳に息が掛かる距離で話すイゾウは
顔は笑っているものの、目の奥は鋭いままで
その迫力に泣き出してしまいたいのを堪えた。


「イゾウ!ナツコを虐めんな!お前みたいな狙撃手が、うっかり手元狂わせる訳ねぇだろっ?!」


マルコとサッチの制止を振り切ったエースは
怒り心頭という形相で立ち上がり、
私からイゾウを引き離して抗議する。
その奥でマルコとサッチは瞼を手のひらで覆い
小さく「あーあ。」と呟いたのを目の当たりにした



「なんだいエース。……言い掛かりにしちゃお粗末じゃあねェか。」


「ハァッ?撃ったろ?!さっきバーン!てココ!」


「……だから言ったろう。手元が狂ったのさ。」


「っ、お前なぁっ!」


掴みかかろうとしたエースの下顎にピッタリと
イゾウは銃口を押し付けて、クイッと口端を上げる
覇気は出ていない筈なのに、皆動けないでいる。



「お前さんロギアだろう?そうケチケチしなさんな。……ナツコの食事を邪魔したんだ、覇気込められなかっただけ善しとしたらどうだい?……因みに今ァ少しばかり覇気が籠ってるが、ぶっ放しゃしねェから、安心しな。」



「………………スミマセンデシタ。」




涙声のエースなんて初めてみた。
エースは兄二人に引き摺られて
ちょっと可哀想なくらい泣きそうな顔だった。



「さて、飯食うんだったねェ?」


「ぁ、いや、もぅお腹……」


「ン?……飯食うんだろう?」


「ぅ、うん。」


「なんだい、汐らしい。……食わせてやるから口開けな。ホラ、」







この日の出来事から
私は自分でご飯を食べる事が無くなった。
でもまぁ、イゾウは沢山食べさせてくれるから
楽出来るしいいかなーって最近思ってるんだ。
それに、エースとイゾウは仲直りしたみたいだし
また楽しいモビーの日常が戻って良かった!

















「エース、あれからイゾウに何て言われたんだ?」


「……聞くなよ。思い出したくねぇ……。」


「ナツコに構いたきゃイゾウの目ェ盗むって知らなかったお前が悪ィよい。」









「ホラ、ナツコまた口端に溢してるだろう?」

「っ?!イゾウっ、舐めちゃダメェっっっ!!」
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