作品2
□HAPPY BIRTHDAY
5ページ/12ページ
爽やかな目覚めと共に椿に水を遣るのが毎朝の習慣だ。
「おはようございます、イゾウさん」
「あァ。おはようさん」
毎朝同じ時間に出勤する彼女の笑顔と挨拶に、柄にもなく胸を高鳴らせるのも、もう随分と慣れたもんだ。彼女は気付いているだろうか、君の後ろ姿を見ていたくて椿の苗を買った事を。
「…さて、今日もすくすく育ちなよ」
彼女の唇とよく似た色の、深紅の花弁に唇を。次は君に口付けしたいモンだと考えながら。
Presented by 春卵