作品2

□→リレー小説文2
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【3、まいまい】




「いただきまーす!」

「うっす」


サッチ先輩を連れてやって来たのは駅前のショッピングビル
ここに入っているカフェのパフェはすんごく美味しいのだ!


「ゾロ、一口ちょうだい」

「ぜってーやだ」

「ケチッ!マリモ!マルマルモリモリみんな食べ、……ごめん」

歌で誤魔化しながらゾロが頼んだリンゴパフェに手を伸ばせば悪魔の末裔みたいな顔が返ってきたから素直に謝った

一応、クラスでも人気がある男子とは思えない表情だ


「サッチ先輩?食べないんですか?」

「へ?!あぁ、……はは」

「なんすか?」

「いや、なーんかさぁ、視線感じない?入り口の方」


ちょいちょい、と手招きをしたサッチ先輩にズイッと顔を近づけた私とゾロ

ひそひそと話すそれに私は「まさか、お兄ちゃん……!」と慌て出す

実際、3人なら恐くないと言ったがこんな所を見られたらきっとゾロとサッチ先輩は生きて帰れない

可哀想に、アーメン



「静かに!ナツの兄貴ならまだマシだってんだ」

「え?」

「……げ、俺帰ります」


何かを見たのか、カバンを手に取り、そっと立ち上がるゾロの肩をサッチ先輩はガッチリつかんで再び座らせた

「お前、逃げたら明日の部活外周50本な」と冷や汗をかきながら言ったサッチ先輩に「へい」とゾロも冷や汗をかく


お兄ちゃんじゃないんでしょ?

え、お兄ちゃん以外にマズイもんってあるの?と余裕で一体なにをそんなに、と振り向けば忘れていたあの変態が受付の店員さんに笑顔を振り撒いていた

不覚にも「あ、やっぱりイケメンだなぁ」なんて考えていればバチッと効果音が鳴る勢いで視線がぶつかる



「っっ!!」

「よう、ナツ」

「私は何も見ていない私は何も見ていない」

「あ、イゾウ先輩こんにちわ。俺、なんも関係ないんすよ、まじで」


いつもは「アァ?」とか「うるせぇ」とか余裕ぶっこいているゾロからは聞いたこともない口調
私は見てはいけないものを見てしまった

だって、よくよく考えれば駅前にショッピングビルしかないここは、何処かしらを探せば必ずウチの生徒がいる

人を探すならまずはここから

だいたいは一発で見つかってしまう


イゾウ先輩がそこまで考えないとでも思ったのか、私は!
ん?ちょっと言ってる事がハンニャバル並に訳わからないが、この際どうでもいい


「イチゴ山盛りパフェにパイナップルトッピングで」

「は、はぅん……!」


いつの間にかちゃっかりサッチ先輩の隣に座ったイゾウ先輩

目を細めながら、ニッコリと艶やかに微笑むイゾウ先輩に店員さんはノックアウト
はぅん!と崩れそうな、そんなレベルだ

ちなみにその頃のサッチ先輩はと言うと……ワーオ、汗が剣道全国大会の時並に噴き出してら



「お前さんら、随分楽しそうだな」

「……」

「……」

「……」


ニコニコと真っ黒な笑顔のイゾウ先輩
それに対して私達3人は静かに目を閉じる


えーと、まず
私がイゾウ先輩から逃げた事が悪いのか、
いや、だって身の危険を感じたんだもの

反省はしている、後悔はしていない、ってやつだ


「んあー?…あっ、ゾロー!!」

「え?」


突如、私達の沈黙を破ったのはカフェに響く大声と太陽の笑顔
麦わら帽子が似合う、ルフィーだ

ルフィーとゾロは大の仲良しらしく、
今も一生懸命ブンブンと手を振るルフィー

ん?待てよ、


「先輩、ご馳走さまっす。じゃあ、また明日部活で、」

「んあ?あぁ、またな…っておい!」

「ゾロォオ!!」


私とサッチ先輩の声も虚しく、ゾロは頭を下げてルフィーの元へ走っていく
ちくしょう!裏切り者め!



「……で、何をしてたんだい?まさか、俺から逃げられると思ったか?」

「……あ、いや…イゾウ先輩……あの、」

「…………俺…塾あったわ」

「嘘つけい」



サッチ先輩学年一位ですよね?勉強しなくても学年一位ですよね?見た目ダセェくせに天才ですよね?

サッチ先輩の胸ぐらを掴みガクガク揺すれば「ギブギブ!」と白目を向いた



「さて、本題だ」

「ひっ!」

「ここで仲良く、みーんな仲良くパフェを食べながら談笑するのと、俺と二人で帰るの、どっちがいい?選びな、ナツ」

「えー……と、そんなイチゴ山盛りパフェパイナップル付きを頬張りながら聞かれても、」

「アァ?」

「すみませんイゾウ先輩と二人で帰りたいです」



私の言葉にイゾウ先輩は今日一番のドS変態顔で「ハッ、イイ子だ」と笑った

どうなるの、私




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