作品2

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【2、湾 】



ゾロの後に着いて辺りをキョロキョロ見回しながら昇降口まで向かう
右、ok 左、 ok
…よし、変態の気配なし。
いや待て安心するな私、先回りして校門にいる可能性だって…



「ビビりすぎだろ」



ブツブツ言いながら思考を巡らせる私にゾロが呆れた風に言う


「そんな事無いよ!あの変態さは大変だよ!ゾロなんて絶対敵わないんだから!一撃なんだから!」


イゾウ先輩の恐ろしさ…改め、変態っぷりを全力で訴えれば、何の勝負だよ、なんてこれまた呆れられた。

いいんだ、呆れられても
とにかく"好きな人がド変態でした。"って心の整理がつくまで出来るだけ会いたくないんだ。


「つか、腹減ったな。何か食ってくか?」

「いいけど、あんまり遅くなるとお兄ちゃんに怒られるかも」

「あー、相変わらずシスコンか」

「ていうか、男の子と2人で下校したってバレたらゾロ殺されるかもね」


自分で言うのもなんだけど、
「ナツが欲しけりゃ俺を倒せ!」
と公言しちゃうような超絶妹LOVE兄なだけに。


「マジかよ」

「でも三人なら平気かも、誰か誘う?」


ゾロの身を案じてそう言ったけど、
そんな都合良く誰かいるわけも…


「あ、サッチ先輩」


…いた。


出番を待っていたかの如く、ナイスタイミングで昇降口へと歩いて来たのは、古臭い髪型がダサ……イケてるナウいサッチ先輩

サッチ先輩は昔からお兄ちゃんと仲良しで、よく家に遊びに来たりするから私とも自然に仲良くなった

ゾロと同じ剣道部で、なんと副部長だったりするんだけど、2人共サボり魔でいつも怒られてるんだ

ちなみに面を被るのにあの髪の毛どうしてるんだろうと私が常々気になっているのは秘密だ。
…た、たたむのかなぁ?


「ん?なんだァ?お前ら」


こっちに気づいたサッチ先輩が薄っぺらいスクールバックをくるくると振り回してるんるんと歩いてくる


「先輩!先輩!暇ならどっか寄ってきません?」

「おー、いいな!」

人懐っこい笑顔でニッカリ笑うサッチ先輩はこんな髪型でも実は女子に人気があったりする
こんな髪型なのに
こんな髪型なのに
大切なので三度言った。


「丁度、腹も減ってたしなー」


で、どこ行く?なんてノリノリで乗ってきたサッチにナツはやったぜ、と小さくガッツポーズ


「良かったね!ゾロ、これでもしお兄ちゃんに怒られてもサッチ先輩身代わりにできるね!」


「あぁ、なるほどな」


サッチをチラ見したゾロは納得した様に手をポンと叩く


「ん?ねぇソレ何の話?キミタチ何か物騒な事考えてない?」

「うふふー!」


じとりとこっちを見る先輩を私史上最高の笑顔でごまかす


「そんな事よりサッチ副部長、メシ奢って下さいお願いします。」

「あ!サッチ先輩、私アイス!」

「…お前ら先輩何だと思ってンの?」

「「 (……財布?) 」」


上機嫌な2人はゲンナリするサッチを引き摺って、栄えている駅前へと歩き出した。





ーーーー………




「なぁ、ナツ見てねェ?」


イゾウがナツのクラスに顔を出せば、キャーイゾウ先輩!という黄色い声援が飛び交う

「あっ…ナツなら、さっき男子と帰るの見ましたけど///」

その中の1人の女の子が顔を赤らめながら答えた


「あいつ、俺から逃げておきながら、男とねェ…」


イゾウの顔がピクリと歪む


「放置プレイをするのは好きだが、されるのは大嫌いだ。」


仕置きが必要さねェ、とニヤリ笑うイゾウに目の前の女子は「はぁーん///」と崩れ落ちる


「変態の恐ろしさ舐めるなよ、ナツ」


言ってることは最低なのに、何故か教室の女子達は更にキャーキャー湧き立った




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