作品2

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【1、ユキア】






【Lock on you!】


私は今、壮絶に悩んでる。
私の名前はナツ。
その辺に転がってる小石と同じ確率で
どこにでも居る様な、ただの学生……です。



「ナツ、此処か。」


「イゾウ先輩っ、こ、コンニチハ!?」



長年好きだった人がある日私を探して現れ、
私の名を柔らかな笑みをたたえながら呼び
しかも二人きりだったとします。




「どう、したんですか?」


「ん?……特に用向きは無ェな。顔覗いて帰りたかっただけじゃ、いけねェか?」


「ッ!?いや、そんなっ、有り難き幸せで……」


「フッ、顔が赤ェよ。」


尚且つ、校内で絶大な人気を誇るその人と
良い雰囲気になったりして。
膝が笑う位、嬉しい状況です。


「……今日は、白……だったな。」

「………………は?い?」


「…………下着。」


「エッ?、、、エェッ?!」


「お前さん達が弁当食うあの場所な、俺のクラスからァ良く見える。……まァ、お前さん以外に興味は無ェけどな。」


「☆@?!//.co※m、、わァ、ァアアア?!」


「ア?今更何だ?たまァに目が合ったろう。…見てンの知ってたんじゃあねぇか?昨日は水色、先週末は桃色……」


「ぅわぁぁぁぁぁあああ?!」


「何だ、初なフリしやがって。今日はそういう気分か?ソレとも、プレi……」


「ぎゃぁあああああ!」







その憧れの先輩が、変態だった場合。
私はどうすればいいんですかっ?!










____

___


「……で、息切らす程全力疾走して来たのか。」


……ダセェ。


低いトーンが鼻で笑った。
緑色の芝生みたいな頭を揺らして。
未だに肩で息をしているがために
発声の儘ならない私を冷めた目で。


「いやーしかしそれは羨まし……違った、確実に変態じゃないか!?ナツのパ、パンツなど俺ですら見たことがないのに!!……アァ、ナツの彼氏になりたい。」


「テメェは黙ってろ!!話がややこしくなんだろうがっ!つーか何なんだッ?!テメーのその格好はハンニャバルッ!!」


「何だと?どっからどう見ても正装だろう!これ以上の勝負服を私は持ち合わせて居ないっ。」


「……ただの半裸の変態じゃねぇか、テメェは。」


「ブファッ?!そ、それはナツが変態がドストライクという裏付けだなっ?」



コスプレイヤーの最先端を行くハンニャバルが、エジプト人的な姿のままゾロに思い切り殴られた頃、漸く私の息も整って改めて溜め息をついた。



「ハァ……どうしたらいーの。」


「オイ、ナツ。」


「んー?」


脱力感と共に顔を向けたら、
片手を首の後ろにあてがって
私を真面目な顔で上目加減に見る
ゾロと目が合った。



「な、に?ゾロ、顔コワイ。」


「うるせぇ。……今から帰んだろ?ソイツと会いたくねぇなら途中まで一緒に行くか?」


「本当?!」


「こんな面倒な嘘吐くかバァカ。」


溜まり場と化している漫研の部室は、
部長であるハンニャバルが

「ナツが喜ぶなら。いや、寧ろそのまま私を彼氏にすれば良い!」

という後半の意味が解らない特別待遇で
何故かこうして仲間のゾロまで入り浸る。
他にも、今日はバイトで来ていないけれど
サディちゃんとか、ルフィとか、
それから王子コスのハルタ先輩とかが来る。



そう、ルフィと私を除いて大体ドSなんだ。



「テメェに何かありゃ、お前の兄貴がウルセェからな。仕方なしだ、勘違いすんなよ阿呆女。」



……兄貴。
そのフレーズだけで、ちょっと冷や汗かいた。
喧嘩の強いゾロすら捩じ伏せる私の兄。
どうやらそれが原因らしく、ゾロは面倒そうに
立ち上がり、私と自分の鞄を手にすると
さっさと部室を出ていってしまった。


「ぁ、ごっ、ごめんね、ハンニャバルッ。私、カエルからまたね?!」


「あぁ!次は是非俺と寄り道デートをしよう!」





今日2度目のスルースキルを使って
私は駆けってゾロの後を追いかけた。










「あぁ、やはり可愛い……ナツの彼氏になりたい」




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