天から舞い降りた小鳥
□4話 初デート前編
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愛李と番号交換したあの日から、二日間程メールのやり取りが続いている。
明音ではなく何故か愛李と。
今現在、大学で講義を受けている最中にもメールを受信する。
――大学頑張ってる?講義中寝てたらダメだよ。
愛李からの他愛も無いメール。
こんな内容のメールが頻繁に来るうちに、俺はいつしか敬語を使わなくなり、お互い名前で呼び合うくらいの仲になっている。
面倒くさいと思いつつ、とりあえず俺はそのメールに適当な内容で返信する。
しかしこのメールのやり取りに意味があるのだろうか。
俺には愛李とメールをする理由は無い。
元々番号を交換した理由も"明音との仲を取り持つから"という理由だったはず。
その肝心の明音からは、一向に連絡が無い。
「最近メールしてんの多いな、彼女でも出来たのか?」
講義ではいつも隣に座っている清人から話かける。
俺は清人からの問いかけには答えず、ふとした疑問を逆に投げかける。
『なぁ清人、SKEって暇なのか?』
「は?暇な訳ないだろ、超多忙だと思うぜ」
超多忙のわりには十五分に一回くらいはメールが来るんだが。
愛李だけが暇なのだろうか。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
俺は愛李からのメールを開いたまま、清人に見せてやる。
「このメールがどうしたんだ?ノロケか?」
『差出人のとこ』
「差出人……ふ、る、か、わ、あ、い、り……ってあいりん!?」
『バカ、静かにしろよ』
数人の生徒がこちらを見たものの、幸いなことに教授には聞こえていなかったようで、講義は問題なく進んでいく。
清人は軽く一言俺に謝ると、声を小さくして話しかけてきた。
「このあいりんって、あのあいりんか?」
『俺は古川愛李という人間は一人しか知らん』
「なんでお前があいりんとメールしてんだよ」
『それは俺も聞きたい、何で俺は愛李とメールしてんだ』
結局この話が前に進むことはなかった。
清人はただ羨ましがるだけで、俺の相談に乗る気はまったくないようだ。
さらにはアドレスを教えてくれとまで言ってきたが、さすがにそれはまずいと思い、丁重にお断りした。
結局一人で頭をかかえていると講義は終わり、昼の休憩時間となる。
昼休憩までに愛李からのメールがまた届いたのは言うまでもない。