Library wars【novel】
□第1章
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「腕下げんな、笠原ッ!」
うわー、また怒られてるよ笠原…
内心で哀れに思いながら、前を走る郁を抜かす。
「んじゃお先にっ」
「えぇっ!?」
ワンテンポ遅れて、後ろから驚きの声が聞こえた。
そしてゴール。
麗華は倒れ込みそうになるのを堪えて列に並んだが、
郁は思いっきりぶっ倒れた。
「あ、郁…」
「誰が倒れていいっつった、腕立て!」
麗華よりも早く、教官の罵声が飛んだ。
男子隊員も一緒のハイポートで、
麗華は50人中11位、郁は12位となかなかの順位だった。
もちろん、女子の中では1位と2位。
腕立てをしている郁を横目で見ながら、
麗華は隊列の後ろに並んで座った。
そして、グラウンドに正午のサイレンが鳴り響く。