3時のおやつ

□Catch Me
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急いでローファーに履き替えて、昇降口のガラスの扉の前で制服のリボンとスカート、髪型が変じゃないかを軽くチェックをする。


昇降口を出ると、校門前には凄い人だかり。さっき廊下で見た時より人数が多くなっている気がするんだけど・・・。
あんな人だかりじゃ、私が近づいても、きっと気づかないだろうな。


「あの・・・・ぽこたさんですよね?」

「うん、そうだよー」

「ファンなんです!!!サインいただいてもいいですか?」

「いいよ!どこに書けばいいかな?」


彼がサインし始めたことによって普通の人ではないことが周りにも伝わったらしく更にざわつきはじめる。


ここで声をかけてもいいのかな?
せっかく彼に会えて幸せな気分になっているのに、私が水を射すようなことをして。




・・・そんなこと絶対にできない。


【近くまで行ったんだけどファンの子にも悪いし、人も凄くて私を見つけられそうにないから、先に校門出てるね。また後でどこで待ち合わせするか決めよう?】


本当は今すぐに声をかけたい。
あの注目の的は私の彼氏なんだよって。
彼の周りに人が集まって、そのかっこよさに黄色い声援が集まっていることに嫉妬さえ覚えてしまう。


でもそんなことは今の彼の立場上、私がしてはいけないことだと思ったから気持ちを押し殺して送信する。


言い忘れていたけれど、私の彼氏の名前は、ぽこた。
もちろん本名じゃないよ。

ニコニコ動画っていうサイトで歌ってみたをしている超人気な歌い手さん。

彼女がいるということが周りにばれたら、きっと彼の人気にも影響してしまう。
そんなことは絶対にさせたくない。

だから会うのもいつもお忍び。彼は堂々としたいみたいだけど私はそれをどうしても受け入れられなかった。
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