ティーセット

□知るのは危険
1ページ/2ページ


科学部屋でガチャンガチャンと音が鳴る。
怪しげに笑う声が響き渡り暫くしてハロルドが拳を握り締め高らかに掲げ隣に座る白髪の男、ディストがやり遂げたように眼鏡を押し上げた。

「できたわーっ!ぐふふ、やっぱり私って天っ才」
「何を言うんですか、私の力あってでしょうに!」

きぃきぃ喚くディストに軽く礼を告げつつ二人で歓喜のハイタッチをする、とその時扉が開いた。
金のさらりとした髪に青いくりくりした瞳が幼い愛らしさを醸し出している。瞬時に二人の行動がわかればそちらに歩み寄った。

「出来たのか?」
「まぁね〜私にかかればこんなもんよ♪」
「別にピオニーの為に作ったわけじゃないですからねっ」
「わかってるわかってる、有難う。ハロルド、サフィール」

にこりと朗らかに笑いピオニーがその機械を受け取る。ハロルドは出来に満足していてなんて事はない、とばかりに片手を振る。ディストは受けた笑顔に声をどもらせ顔を赤らめながらふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
ずしりと重いそれは無線機のような外見をしている。中身の作りは全く違うが外見は機械、灰色のそれをしかと持ち足元微かに揺らして扉に向かう彼にハロルドは口を開いた。

「それ、なんの用途で使うの?」
「少し知りたい事があってな」
「ふーん……ねぇ、ネイス博士ピオニー一人じゃ壊しそうだし付き合ってあげたらぁ」

急に矛先が向き赤紫の瞳を見開いて慌てるが彼女が強引に押して促しピオニーも嫌がる素振りが無く瞳を泳がせながらも付いていった。





「…物騒な物を頼みましたね、あなたは」
「それを受けたのはお前達じゃないか」
「学者としての興味の対象だっただけですよ」

ピオニーの持つ機械は人の脳の周波数を読み取り考えている事を言葉に置き替える物だった。つまり相手の思考を読み解くもの、一国の皇帝が欲しがるには嫌な理由がつきそうだとディストは考えていたが金が止まったのは食堂の前だった。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ