ティーセット

□君を追って何処までも
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依頼を終え麻袋の中に入れたレッドラベンダーを片手に意気揚々とピオニーが歩く、その後ろを内心可愛いな、と思いながらユーリが続きバンエルティア号の甲板からホールに足を踏み入れた時だった。

「ワォン!」

聞き慣れた鳴き声にユーリが瞳を丸くすればピオニーの元に向かう下町時代からの相棒ラピードが見え続いて後ろから規則正しい歩調のにこやかな笑顔を爽やかに振り撒く親友、フレンの姿があった。
思わず周りへ視線を回し現在地を確認する中ピオニーは腰を屈めラピードの頭を緩く撫で「久しいなあ、ラピード」とじゃれあう。否応なしに現実を突き付けられるような感覚にユーリは嫌々そうにフレンを見据えた。

「なんでおまえがここにいるんだ?」
「君達がお世話になってるみたいだからそのお礼に来たんだよ」
「ほー…じゃあ用事済ませてとっとと帰った方がいいんじゃねぇか、騎士団長様が帝都を放っておくのは感心しねぇな」

幾らかの牽制をかけてしまうのは以前の決闘(クエスト名愛する君へ)の余波でもある。散々おちょくられたような感覚を受けてはユーリは親友をいまいち快く受け入れずにいた。
しかし当のフレンは笑顔を絶やすこと無く緩く頭を振り胸元に片手を添え晴れやかな表情を繰り出した。眩しい、とピオニーが小さく零した声が耳に入る。

「今帝都は安定しているから暫く自分の見解を広げようかと思ってご厄介になろうと思ってね」
「………はい?」
「これから宜しく、ユーリv」
「まて、船長の許可は…」
「勿論頂いたよ、騎士団長としてではなく一介の人間ただのフレンとして助力願いたいって。………苦手な物がある人を頷かせるのは簡単だよね」

爽やかな笑顔と裏腹な台詞が続いたように聞こえバッとユーリはラピードへ視線を送れば彼もまた応えるかのように瞳を細めた。

「…フレン、おまえ…」
「大丈夫だよ、僕は魔神剣使えるし。君よりずっと主人公向きだからすんなり皆に溶け込めるよ」
「喧嘩売ってるのか?」

ひくり、と眉が揺れユーリは大きな溜息をはきだした。





フレン、ラピード、レイヴンが仲間になりました。





「っておっさん何ちゃっかりはいってんだよ!?」
「運命の人に会いに♪」
「はぁ?」








余談ではあるがチャットはホール前で倒れている所を発見され三日三晩うなされ目覚めた時にはフレンには逆らわなかったという。



―おしまい―

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