dream
□第10話
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『御幸先輩!倉持先輩!』
昼休みも終わりが近づいた頃、
廊下を渡り廊下を歩いてると背後から声をかけられた。
振り返ると走ってくる子猫ちゃんがいた。
御「お、どうしたー?」
倉「そんなに走ってコケるなよ(笑)」
こうやって彼女の方から駆け寄ってくるのは珍しくて、俺は「何をやらかしてくれるんだか」と内心ワクワクしていた。
それは倉持も同様で笑顔で彼女を見ている。
『私、野球部に入部します!!』
「「……は……?」」
意気込んで何を言うかと思えば……。
あまりにも予想外の事に、俺達は口をあんぐり開けてマヌケな顔をしていた。
『あ、あれ?えっと……ダメ、です……か?』
そんな俺達に不安になったのか、さっきの意気込んだ姿勢から一変し、不安げに眉を下げる。
倉「ダメって事はねぇけど。」
御「あまりにも予想外で。」
そう答えるとホッとした表情になり「良かった……」と胸を撫で下ろしている。
倉「でも何で急に入部しようと思ったんだ?」
『いや……あの……元々マネージャーになろうと思ってたんですけど、ちょっと…手違いと言うか……予想外の行動を起こしてしまって……。』
尻すぼみになりモゴモゴと話す彼女を見ていると直ぐにピンと来た。
御「俺に告白したから?」
倉「っ!!?」
『なっ?///』
御「あら♪俺を追いかけてマネージャーになっちゃう感じ?」
『違っ///』
倉「み、御幸っ!!」
御「はっはっはー♪」
慌てる倉持と真っ赤な顔でアタフタする彼女を見ると楽しくてしょうがない。
高らかに笑ってると彼女が真っ赤な顔のままギッと真っ直ぐ目を見てきた。
『確かにマネージャーになりたいと思ったキッカケは御幸先輩だけど、手違いでうっかり告白してしまったから悩んでたんです///』
倉「手違い?」
御「うっかり??」
『で、でもやっぱり初志貫徹って事でマネージャーになりますっ!これからは堂々と御幸先輩を追いかけるのでよろしくお願いしますっ///』
そう宣言した彼女の姿は寧ろ清々しいくらいで、俺も倉持も呆気にとられていた。
『あ、それと言っときますけど、入部動機は下心だけじゃないですからね!!先輩達が見てる世界を私も一緒に見たいんですっ!そしていつか御幸先輩みたいにキラキラした自分になりたいんですっ!』
「「……………。」」
『とにかく、それだけは覚えておいて下さい!本当にストーカーじゃないですからねっ///』
ビシッと言い切ると真っ赤な顔のまま走り去っていく。
その後ろ姿を呆然と見送った。
倉「なぁ……。」
御「……ん?」
倉「アイツってあんなキャラだったっけ?」
そう質問した倉持の言葉にプッと吹き出す。
御「ハハハッ」
倉「ヒャッハー」
爆発的にわき出た笑いは過呼吸になるほど強烈なもので、俺達は暫くその場で動けなくなった。
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