dream

□第9話
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御幸先輩に送ってもらった翌日。
登校するとニヤニヤした美琴ちゃんと奈央ちゃんが近づいてきた。
散々質問攻めに合ったが報告するほど特別何かあった訳でもない。
その為、すぐに話が終わると「つまんな〜い!」と二人がむくれた。
そこへ登校してきた春乃ちゃんが「どうしたの?」と話しかけてくれば、二人は春乃ちゃんにだけ聞こえるくらいの声の大きさで御幸先輩と私の事を話した。
それを聞いて驚いていた春乃ちゃんの目が次第にキラキラし出す。
挙げ句「そっかぁ〜」なんて夢見る乙女のような顔つきになったが次の瞬間「でも…」と顔を曇らせた。

吉「野球部って練習とか厳しくて大変そうだし、なかなか自由になる時間とかないから……もし付き合うってなっても大変かも……。」

眉を下げる春乃ちゃんに美琴ちゃんと奈央ちゃんの二人は「そっかぁ…」と呟いた。

『あのさ、その……付き合うとか付き合わないとか話が飛躍し過ぎてるけど……』
「え、でも好きなんでしょ?」
『……そう……なのかな……?』
「「何ソレ!」」

美琴ちゃんと奈央ちゃんが同時に突っ込んだ。

「好きだから告白したんでしょ?」
『……えっと……気づいたら告白……してました……。』
「何ソレ!?」

盛大にため息つく二人に苦笑いの春乃ちゃん。
その時、チャイムが鳴った。

吉「とりあえずこの話はお昼休みにゆっくりしよう?」
「そうね。」
「それまで我慢するわ!」

春乃ちゃんの提案に二人が渋々納得して席に戻った。

吉「さつきちゃんもあまり気にしないようにね!」
『うん……ありがとう。』

お礼を言うと春乃ちゃんはニコッと笑った。




そして
待ちに待った?お昼休み。
教室では誰かに聞かれそうという事で、4人で屋上ランチ&ミーティングをすることになった。

「「で、どうゆ〜事?」」

問い詰められた私はお弁当をモソモソ食べながら事の経緯を話す。
御幸先輩が覚えてないであろう出逢いの瞬間から今に至るまでを話し終わるとため息が聞こえた。

「要するに一目惚れした御幸先輩を追いかけて入学した訳ね!」
『ひ、一目惚れというか……なんかキラキラしてる先輩の姿に憧れて……。』
「「それを一目惚れっていうの!!!」」
吉「まぁまぁ!」

春乃ちゃんが苦笑いして興奮する二人を落ち着かせようとする。

「でも結局は勢い余って告白したんでしょ?」
『予想外デス……。』
「脳が気づいてなくても心は惹かれてたって事じゃない?」
吉「あ、なるほど!!」
『そうなのかな?』
「「そうなの!!」」

突っ込まれながらも何となく私達4人の関係図が出来上がりつつあるのが面白く感じていた。

「で、やっぱ付き合いたいんでしょ?」
『は?なんで??』
「いやいや!普通、好きなら彼女になりたい!って思わない?」
『……………そう、なの?』
「なるでしょ!」

美琴ちゃんに言い切られて考え込む。

「……ねぇ、さつき。ちょっと聞きたいんだけど、今まで彼氏とか好きな人いた?」
『なっ!失礼な!!彼氏はいないけど好きな人くらいは……。』
「くらいは?」
『……………。』
「「………………。」」

沈黙がおりる。

『え〜と……幼稚園の時、隣に住んでいたお兄ちゃん。』
吉「さつきちゃん年上好きなんだね〜♪」
「……それどれくらい年上?」
『え〜と、当時大学生だったような?』
「……………。」
「……なんで好きだったの?」
『優しくてね、よく遊んでくれたんだ〜♪』
「「……………。」」
吉「子供好きだったんだね〜そのお兄さん。」
『うん。学校の先生になりたいって言ってたもん。』
吉「へぇ〜。」
『今は小学校の先生やってるの。』
吉「凄い!」
『でしょ〜♪』
「「…………………。」」

春乃ちゃんと私の間でのほほ〜んとした空気が流れる。
それをどこか冷めた目で見てる二人に気づいた。
そして深〜いため息をついた。
どことなく不穏な空気が立ち込め、冷や汗がタラリと垂れた。

「それ、恋じゃないでしょっ!!」
『うっ……。』
「もう!春乃もさつきも脳内お花畑にしない!!」
吉「『ごめんなさい……』」

二人の勢いに圧倒され、私と春乃ちゃんは眉を下げで謝った。

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