dream

□第8話
1ページ/3ページ

まだぎこちない朝の挨拶が聞こえる中、私は窓際の自分の席に着いた。
入学して3日経った1年の教室は徐々に仲良しグループが出来始めていた。

吉「さつきちゃん、おはよう!」
『あ、春乃ちゃんおはよう!』

前の席の女の子、吉川春乃ちゃんと挨拶を交わす。
春乃ちゃんはふわふわした感じの凄く女子っぽい可愛い女の子。
同性の私ですら春乃ちゃんの可愛らしさにキュンキュンしてしまうほど。

あぁ……
女の子ってなんて可愛いんだろう……。

そう思ってると春乃ちゃんの前の席の有川美琴ちゃんとその前の席の戸塚奈央ちゃんが集まってきた。

「春乃、さつき、おはよう!」
吉「おはよう!」
『おはよう!』
「ねぇ、部活どうするか決めた?」
吉「あ…私は野球部に入ろうと…。」
『えっ?』
「野球部?マジ?ここの野球部強いんだよね〜。」
「そうそう!しかもカッコイイ人ばっかり。中でも雑誌にも出たことがある御幸先輩はかなり有名なんだって。放課後見に行って見ようかな〜。」
『!!』
「私も行く!!超カッコイイらしいもんね、御幸先輩。見たい見たい!」

御幸先輩、やっぱり有名なんだ……。

入学式の日
ずっと憧れていた御幸先輩と会って
思ったよりずっと気さくに話してくれる御幸先輩がとても近く感じた。
けど、こうしてクラスメイトの話を聞いているとなんだか遠く思えてしまう。
ため息をついて外を見ると数十メートル先から何処かで見た二人が歩いていた。

あ、あれ……

ジッと見ていると視線に気づいたのか、茶色い髪の人が顔を上げた。
黒縁メガネがキラリと光る。

御幸先輩!!!

御幸先輩はニッと笑うとスッと手を上げた。
それに気付いた隣の倉持先輩も御幸先輩と同じように笑って手を上げていた。
ペコリと頭を下げるだけの挨拶をすると「ハハッ」「ヒャハ」と二人が笑って去っていった。

「ちょっと〜さつき、聞いてる?誰に挨拶してんのよっ?」

それまで話に夢中だった彼女達が私に話を振ってきて、私の視線を追うように窓の外に視線を送る。
その時には御幸先輩達はだいぶ先に行っていて、背中が小さく見える位だった。

『えっと、知り合い?』
「なんで疑問系?」
「それより野球部見に行く話!今日行く?」

気づけば女子が2〜3人増えていて、野球部の話で盛り上がっていた。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ