dream

□第7話
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拾った子猫を一人暮しだというアパートまで送り届け何処か楽しい気分のまま寮の戻ると早速沢村と降谷に捕まった。
「球を受けろ!」とうるさい二人に仕方なく付き合ってやり、「まだ投げたい!」と駄々捏ねる二人を無理矢理言い聞かせて自主練を上がらせた時にはもういい時間になっていた。
寮の自室に戻ろうとしていると同じく自主練を終えたメンバーの中から倉持が走り寄ってきた。

倉「御幸、オメェ戻ってくんの随分遅かったじゃねぇか。」
御「ん?」
倉「あの子、ちゃんと送ってきたのか?」
御「あぁ。」
「「「あの子???」」」

倉持と話していると周りにいたメンバーが「あの子」というワードに反応した。

亮「あの子って誰?」
伊「御幸!オメェ、自主練サボって何かしてたのかっ?」
沢「だからニヤついてたのかっ!!御幸一也っ!不真面目だぞっ。」
結「御幸、詳しく聞かせてもらおうか?」

一気に詰め寄られ、倉持を見るとニヤニヤ笑っていた。

倉持の野郎……

このままじゃいつまでも聞かれ続けるのは目に見えてわかるので、簡単にはかい摘まんで話すことにした。

御「自主練行こうとしてたら迷子の子猫を見つけたんすよ。」
「「「子猫ぉ〜?」」」
御「そう。ちっちゃい子猫。迷い過ぎてボロボロになってプルプル震えてる子猫。」
倉「ヒャハッ!」
御「そのまま放っておく訳にもいかないから、ちゃんと家まで送り届けたってトコです。」

言い切ると沢村が「なんだ〜子猫かぁ〜!」とバカっぽい声を出していた。
沢村のバカは本物の子猫だと思ってるようだ。
だが、他のメンバーはどうやら疑っているようだ。
特に3年の視線が痛い。

亮「子猫ねぇ…。それって本当に子猫?」
倉「亮さん、メスの子猫ッスよ。」

黒い笑顔の亮さんに倉持がニヤニヤしながら告げ口する。

亮「ふ〜ん……女の子なんだ?可愛いの?」
御「まぁ……そう……すね。」
倉「オメェ、気にいってんだろっ!」

倉持が独特の笑い声でケツをキックしてきた。
その痛みに倉持を睨み付けるもニヤニヤしているだけだ。

ちくしょう。
ホントよく見てるよな、コイツ。

確かに俺はあの子のこと、気に入ったけど。
それを悟られるとは、さすがと言うべきか。

亮「で、本当に子猫?」
御「…………。」
亮「素直に言った方がいいんじゃない?女の子だって。」
御「っ!!!!?」

こっちも恐るべし……亮さん。

伊「御幸ぃ!やっぱりそうなんだなぁ〜!!」
結「御幸、実際はどうなんだ?」
増「うがっ!」
沢「じょ、女子?子猫じゃないのかっ??御幸一也ぁ〜。」
春「栄純くん、うるさい!」
降「……女子……。」
御「……はぁ……新入生の女の子ですよ。」

一段と騒ぎ出すメンバーに仕方なく本当の事を言うと黒いオーラが周りを包んだ。
その中、一人だけ沢村が吠えていた。

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