dream

□第4話
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すっかり暗くなった道を歩く。

が、またもや迷ったようだ。
方向音痴ではないハズだか、ここではどうも迷ってしまう。
いまだに校門をくぐれずにいた。

『もぉ、どこなのよ!ここ!!』

アパートみたいな建物の裏側。
学校の敷地内だから寮か何かなのだろう。
運動部には寮があると学校のパンフレットに書いてあった事を思い出す。

1日に2度も校内で迷子になるという何とも情けない状況にため息が出る。
だが、とにかく今は早く帰宅したい。
なんか心身ともに疲れたからゆっくりお風呂に入って、ご飯を食べたい。

『はぁ……。』

俯きながらトボトボと歩いていると前から声が近づいているのに気がついた。

倉「だから腕ひしぎ決めてやったのにアイツ全然効かねぇの!」
御「はっはっは、仲良いな〜!」
倉「仲良くねぇよ!!」

ジャレ合うような2つの影。

『あ、あの!校門…は……。』

それに近づいて道を尋ねようとしたが言葉が詰まった。

御「ん?なんだ?」
倉「お?なんでこんなところに女子がいるんだ?」

……み…御幸先輩っ???
と、ジャレてた御幸先輩の友達??

倉「お〜い、どうした?こんな所で何やってんだ?」
御「とっくに下校時間すぎてんぞ?」

あまりの驚きに先輩達の声も聞こえず、固まっていた。
目の前でヒラヒラと振られた掌にハッと我にかえる。

『あ……その……帰ろうと思って歩いてたら迷って……。』

ずっと会いたくて憧れてた人に何とも情けない姿を見られて頬が熱くなる。
尻すぼみする声と同時に恥ずかしさで俯いてしまった。

御「プッ」
倉「ヒャハッ!」
御「はっはっは!!」

吹き出した二人はお腹を抱えて笑っていた。
恥ずかしさで逃げたしたくなるものの、このまま迷い続けるかもしれないと思うと、ここは素直に校門までの道を聞いていた方がいいだろう。
とはいえ、情けな過ぎてますます小さくなる。
ひとしきり笑うとやっと落ち着いたのか、ハァハァと息をしながらこっちを見た。

御「で、迷子の子猫ちゃんはどこまで送ればいいの?」
『え?』
倉「ヒャハハッ!迷子の子猫ちゃんって!!」
御「いやいや、子猫ちゃんだろ?迷いに迷ってこんな時間にこんな所にいるんだぞ。」
倉「そうだけどよ〜ヒャハハ〜!」

御幸先輩の『子猫ちゃん』発言が余程のツボだったのかお友達さんはヒャハハと独特の笑い方で爆笑していた。

あぁ……本当に穴があったら入りたい……///

『あ…あの、校門までの道程を教えていただけたら自分で帰れると思うので……。』
倉「その校門までの道を迷ってたんだろ?」
御「うちは無駄に敷地広いからな〜。とりあえず俺、この子が分かる所まで送ってくるわ。」
倉「はぁ?お前1人だとヤベェだろ。」
御「何がヤバイんだよ?」
倉「子猫ちゃんがオオカミに食われちまう!」

ニッと笑うお友達さんに御幸先輩がニヤリと笑う。

御「子猫ちゃんは美味しくいただきました!って?」
倉「うわ〜お前ホンット、キメェ〜!」
御「はっはっは〜そりゃどうも!」
倉「褒めてねえわっ!!」

ジャレ合う姿をボーッ見ていると「お前の事だぞ!」とお友達さんに軽くチョップを受けた。

『う"……💧』
御「まぁまぁ、とりあえず校門まで行こうか?」
『え…いいんですか?』
御「校門までの道程を教えたとしても、また迷う可能性があるだろ?」
『………。』
御「ほら、行こうか?」
『は、はいっ///』

歩き出すと御幸先輩の後ろに続こうとすると、お友達さんがバツの悪そうな声で御幸先輩に声をかけた。

倉「………あ〜俺、亮さんに確認する事があったんだわ。御幸、悪いけどその子の事頼むわ!」
御「ん?おお!じゃあちょっと行ってくるわ。」
倉「おう!」
『あ、あの、ありがとうございました!』
倉「は?」
『えっと、その助けてもらったから…その……。』
倉「でも、送ってってやれないけどな?」
『それでも助けてもらいましたから。ありがとうございます。』

感謝の意味を込めて頭を下げると少し驚いた顔をしていた。

倉「あ〜、うん。いや。うん。まぁ気をつけてな。」
『はい!』
倉「ちゃんと分かる所まで御幸に送ってもらえよ?」
『えっと……は、はい。』
倉「もう暗いし、ちゃんと送ってもらえ!」
『は、はい!』

ちょっと見、ヤンキーっぽく怖い人っぽいけど、本当は凄く優しい人なのかもしれないと思った。

御「そんじゃあ行くぞ〜!」
『は、はい!!』

もう一度ペコリと頭を下げて御幸先輩のあとを追いかけた。

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