dream

□第8話
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御「はいはい、まぁとにかくウチの子猫を怖がらすのはやめてください。見世物じゃないんですから。」

やいのやいの言ってる先輩相手にも怯むことのない所をみると、御幸先輩は誰が相手でも態度を変えない人なんだと思った。

御「帰るなら送っていくぞ?」

ボンヤリしていた私は急な申し出に驚いて御幸先輩を見ると肩越しに振り向いてニッと笑っていた。

『でも御幸先輩、練習終わったばかりだし……。』
御「ははっ、これくらいでバテるワケないだろ?」
『と、友達もいるし……。』
御「あ、マジ?でも友達と同じ方向なのか?」
『……途中までは。』
御「途中ってどこまで?」
『…………。』
御「はい、素直に言う!」
『……駅まで…です……。』
御「駅までってすぐそこだろ?やっぱ送ってく。」
『でも……。』
御「迷子になられたら困るしな。」
『もう大丈夫ですってば!!』
御「いいからいいから!それとも俺に送られるのは嫌か?」

表情は変わらないものの少し寂しそうな目をした御幸先輩に「そんな事ないですっ!!」と力強く答えるとニッと笑った。

御「じゃあちょっと着替えてくるから待ってろよ!」

はっはっはー♪と笑いながら寮の方へ走っていく御幸先輩を見ながら「本当にいいのかな……」と思っていると、美琴ちゃんと奈央ちゃんが興奮したように寄ってきた。

「「さつき、御幸先輩と付き合ってるの???」」
『い、いや違って……。』
「え〜でもなんかラブラブだったよ!」
『そんなハズないよっ!』
「いや、もう愛が見えた!!」
『だから違うって!!』
「もう照れなくていいから♪」
『ホント違うって!!』
「またまた〜。」
『だってフラれたもんっ!』

勢い余って言ってしまった言葉にハッとすると二人も目を丸くしていた。

「え……でも何処からかどうみてもラブラブに見えたのに。」
「寧ろ御幸先輩の方がさつきに構いたくてしょうがない!って感じに見えたけど。」
『……………。』

自分の失言と気まずさでうつむくと暫しの沈黙が流れた。
でも次の瞬間、二人がグイッと肩を組んできた。

「よし!それなら私達全力で応援するよ!」
『えっ?』
「そうそう!入学して間もないけどさ、せっかく仲良くなったんだし。さつきの恋を応援する!!」
『美琴ちゃん、奈央ちゃん………。』

二人はニッコリ笑って「とにかく今日は御幸先輩に送ってもらって、明日報告だからね♪」と言った。

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