dream

□第8話
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放課後、結局クラスメイトの女子数名と一緒に野球部の練習を見に行くことになった。

春乃ちゃんは野球部副部長の高島先生の所に入部届けを出しに行った。
とはいえ、暫くは仮入部扱いらしい。
私もマネージャーやりたいと思っていただけに春乃ちゃんとゆっくり話したかったが、なかなかそれが出来なかった。

「やっぱり野球部凄いね〜!」
「あ、アレアレ!御幸一也先輩!」

相変わらず女子生徒の黄色い声が響くグラウンドのフェンス越しに盛り上がってるクラスメイト達を横目に練習を見ていた。
陽が傾いた頃、本日の練習を終えた野球部はグラウンド整備を終え、グラウンドに挨拶をした野球部の皆さんがバラバラとグラウンドの外へと歩き出した。
そうなると身近で部員と触れ合える(話しかける?)チャンスとあって、ギャラリーの女子生徒達は更に黄色い声を上げていた。

やっぱり凄いな……コレ……。

周りの女子生徒に圧倒されていると一段と黄色い悲鳴が上がった。
それにビックリしていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

御「おっ!今日は見に来たのか?」

勢いよく振り向くと御幸先輩が「よっ!」と言わんばかりに片手を上げて近づいてきた。

『あ!』
倉「ヒャハ!なんだ、お前も見に来てたのかよ?」
『あ……えっと、この間はありがとうございました。』
御「ハハッ どういたしまして!」
倉「オメェ、何偉そうにしてんだよっ!」
御「いやいや、送っていったのは俺だし?」
倉「保護したのは俺も一緒だろうが!」

御幸先輩と倉持先輩がジャレ合っているが、それよりも周りの女子の目が怖い……。
クラスメイトの驚いた顔はいいけど、明らかに先輩であろうオシャレ女子の鋭い視線がチクチクと刺さった。

そうしているとバラバラと歩いていた他の部員も近づいてくる。

亮「何?もしかしてその子が子猫?」
伊「あぁ?そうなのか、御幸?」
倉「そうッスよ!コイツが御幸の言ってた『子猫』。」
『っ!!?』

ワラワラと集まり出す部員にビビってしまう。
御幸先輩と倉持先輩だけでも大きいなぁと思っていたが、他の部員の方々も大きくて集団になるとちょっと怖い。
でもそれ以上に怖いのが女子の視線だった。

「「「ほ〜う、これが噂の子猫……」」」
『(いや〜怖いよぉ〜っ!!!)』
御「ホラホラ、そんなに一斉に近づくとダメですって!ビビってるじゃないですか。」

庇うように御幸先輩は私の腕を引いて背中に隠す。
その途端、周りから女子達の悲鳴のような声が響いた。

伊「御幸ぃ、隠すんじゃねぇ!」
亮「カッコつけちゃって。」

ヤイヤイ言う野球部員のヤジすらヘラヘラ顔で受け流す御幸先輩の背中に隠れながら自分の知らないところで御幸先輩達が自分の話をしていたのだと知り心がソワソワする。

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