君が好き

□囚われの少女
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雨のやまない毎日。
いつからか、私の心も曇り空。
目の前でどんどん増えていく死体達…。
いつの間にか、私は一人ぼっちだね。


阿「おいおい…、まだ飯食ってねぇのかよ。」


うずくまってるから、声の主の顔は見えない。
でも多分…夜兔の人だ。その声はすごく無関心で、冷たい。
どうでもいいなら関わらないで?


阿「食わねぇと死ぬぞ?」

「……なら、死なせて……。」

阿「お前は特別な捕虜なんだよ。だから殺せねぇ……。」


特別、か。私の何が特別なの?
ねぇ教えてよ。
私……生きていたくないの。


「死にたいよ、いっそ……。」

阿「片割れの事は悪かった。」

「………代わりに、私が死ねばよかったのに。」


今更謝らないでよ。
もう遅いの、なにもかも。私…もうすぐ死ぬのかな?
死んだら君に会えるの?


「早く……殺してください。」

阿「…飯、食っとけよ。」


足音が遠ざかっていく。また一人ぼっち。
なんで私、ここにいるんだっけ。
捕虜として連れてこられて…私を守ろうとした君が死んで。


「ごめんなさい……。」


私の代わりに殺された、君。
私の大事な…大切な片割れ。
私にそっくりな、かけがえのない弟。
消えない残像が頭を支配する。

【大丈夫!!僕が絶対守るからさ!!】

「っ………!!那衣都ぉ!!」

君の代わりに私が死ねば。
君は今でも笑っていてくれた?生きていてくれた?
その声で私を呼んでくれたの?


「君がいなきゃ…意味ないよ!!」


涙をとめるおまじない、教えて?
最近は泣いてばっかだもん。
助けて……。
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