BW マリオネット
□プロローグ
1ページ/1ページ
「ねー、あの子、また嘘ついてるよー!」
「ポケモンが喋るわけないじゃん。」
「ママが言ってたよ、近づいちゃ駄目って。」
「あいつ、気持ち悪いからパパとママに捨てられたんだってー。」
赤い髪の少年は、全く純粋に彼等に聞いた。
「何で?聞こえないの?話してるよ…。
マメパトも、ミネズミも、君のヨーテリーだって。
ずーっとお喋りしてるよ?」
彼の言葉に、子供達の声からからかいの色が消え去る。
「気持ち悪……」
そして彼の周りには、誰一人として居なくなった…。
少年は悲しくなって、木陰に一人で座った。
何故嘘をついていると言われるのか、何故気持ち悪いと言われるのか、
呼吸をするようにポケモンと意を通わせていた彼には全く理解できなかった。
「何でみんな、聞こえないのかな?
何でみんな…居なくなっちゃうの…?」
泣きそうになりながら、膝に顔を埋めて目を閉じる。
その時、真上からクスクスと笑い声が聞こえた。
「…だぁれ?」
『あんな子達ほっといて一緒に遊ぼう!』
生い茂る葉っぱの中から小さなポケモンが飛び出してきた。
「君は…?」
『僕はミュウ。遊ぼうよっ』
もう一度クスクスと笑ったミュウに、少年は涙を拭いて笑顔で答えた。
「うん、一緒に遊ぼ!」