long dream@
□左京のゲーム
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「オセロなら、蔵馬にこの前コツを聞いたよな…」
ラッキー!と叫びたいところの桑原だが、そうも喜べない。
「…でも、私が勝ったら鈴駒と酎が…だけど私が負けたら桐島くんたちが…」
どうすればいいのか分からない未来。
「未来、お願い、オイラに勝たせてよ!その三人と未来は別に友達でもないんでしょ…?」
藁にもすがる思いで言った鈴駒。
鈴駒は本音をいえば見知らぬ三人より酎の命の方が大事だった。
「おい、言っていいこととワリーことがあんぞ」
幽助が鈴駒にくってかかる。
「よせ浦飯。鈴駒がそう未来ちゃんに言いたくなるのもムリはねーぜ」
幽助をとめたのは、意外にも桑原。
友人が人質にとられ苦しんでいる彼には、鈴駒の気持ちがよく分かった。
「くっそ〜どうすりゃいいんだ!」
幽助がじたんだを踏む。
『それでは未来vs鈴駒。ゲームを始めてください!』
急かすようにスピーカーから本部によるアナウンスが流れた。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……)
ゲームが始まってしまう。
未来の頭は真っ白になる。
「未来」
そんな未来を落ちつかすように、彼女の肩に置かれた手。
「…蔵馬……私、どうすれば…」
未来は肩に手を置く蔵馬を、後ろ手に振り返りすがるように尋ねた。
「鈴駒は本気で勝ちにくるだろう。だが、オレは未来に勝利してほしい」
キッパリと言い切った蔵馬に未来は目を見開く。
「でも!」
「大丈夫。全員が助かる方法を、オレは考えているから…。未来は余計なことは考えず、とにかく勝つことだけに集中してくれ」
蔵馬の言葉には、嘘偽りもないように感じた。
「…蔵馬は何か策があるんだよね」
「ああ」
蔵馬の方に向き直った未来。
二人は向かい合う形になった。
未来はしばらく黙っていたが…
「わかった。勝ってみせるよ」
蔵馬だから、未来は信じることができた。
「お願いします。オセロには大人も子供も関係ない。読みの深さを競うゲームだからね。最後までどちらが勝つか分からないから、気を抜かない方がいい」
未来は蔵馬の言葉にうなずくと、リングに上がっていった。