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□左京のゲーム
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入場門に目をやれば…
「り、鈴駒!」
思いがけない対戦相手の姿に、未来はそれ以上言葉が出なかった。
「未来、ごめん。酎を人質にとられて…オイラが負けたら、酎をオイラに殺させるっていうんだ」
鈴駒が悔しさに唇をかみ、下を向きながらこたえた。
「戸愚呂が殺してもいいけど、オイラに殺させた方が面白いんだって…。酎を殺すことをためらうような素振りをみせたら、オイラも酎も二人共殺すって言われてる」
「そんな…」
勝っても地獄。負けても地獄。
酎と桐島たち三人の命を天秤にかけることなど、未来はできなかった。
「…これが左京の狙いか」
左京は勝つことも負けることも選べない未来の苦しむ姿を見るのが目的なのだと悟り、蔵馬が呟く。
「どうすんだよ、未来ー!」
「鈴駒も酎もザマーみやがれ!」
「面白くなってきたぜ!」
観客たちはナイス左京、と騒ぎはじめる。
「コエンマ様、どうすればいいんでしょうか…!」
「うーむ…」
右往左往するジョルジュ早乙女と、頭を抱えるコエンマ。
(あれは戸愚呂!と、もう一人は誰だ?)
モニター画面に映っている、漆黒のロングヘアーをなびかせた見知らぬ男の姿を蔵馬はとらえる。
薄ら笑いを浮かべる左京の背後にはいつの間にか戸愚呂兄弟と…見知らぬ男ならぬ、鴉がゲームの観賞に来ていた。
「未来さん、鈴駒くん。君たちには知力を使って戦ってもらおうと思う。対戦方法はオセロだ。白黒つけるには最も最適なゲームだろう?」
「オセロ!?」
全員が声をそろえて驚く。
「オセロって…オレと蔵馬と未来ちゃんで、六遊怪戦前夜にやったよな」
桑原が数日前のことを思い返した。
「明け方まで付き合わされましたよ」
おかげで寝不足だった蔵馬である。
円闘技場の中心が開き、下からオセロのボードが備え付けられたテーブルが現れた。