long dream@
□風使い陣
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「陣!オメーは強えよ。また戦おうな」
「あ、みんなも来たの?」
幽助の声に振り向けば、未来はこちらへ歩いてきた仲間たちの姿をとらえる。
桑原だけは、観客席の雪菜の元へ駆け寄り話し込んでいる様子だ。
「オレももう一度戦いてえ。今度はリベンジするべ!」
「望むところだ!」
既に友情が芽生えている陣と幽助である。
言った後、陣は未来を見る。
「あ〜あ、未来にカッコ悪いところ見せちまっただな〜」
幽助に負けた陣が耳をしょげて呟く。
「カッコ悪くなんてなかった!すごくかっこよかったよ。二人の試合は、今まで見てきた戦いと違って見ててワクワクしたっていうか…面白かった」
率直で素直な感想を未来は陣と幽助に述べる。
「陣の風を使った戦法は楽しかったし、二人共とってもキラキラした顔で戦ってるんだもん」
未来は陣vs幽助戦を振り返る。
今までの戦いは“殺しあい”というイメージがつきまとっていた未来だが、幽助と陣の戦いはいい意味で安心して観戦できた。
陣の強さに幽助が負けそうでハラハラしたことはたくさんあったが…
楽しげに戦う陣の人柄や、“風使い”という能力のすべてに、未来は惹かれた。
「そっか。未来が楽しんでくれたならよかったっちゃ!」
陣の耳はピンと立ち、未来に笑顔を向けた。
「でも次は絶対オレが勝つだよ」
「いや、オレが勝つ!」
すかさず言った幽助に、未来はくすくす笑う。
「未来はオレたちのチームとの試合中、忙しそうだったべな」
笑う未来を見て、しみじみと言った陣。
「何言ってんだ陣。コイツ暇そうだったぜ」
「幽助、それなんか失礼!みんなの応援で忙しかったよ!」
未来は幽助の発言に訂正を求める。
「オレが言ってんのはその意味の忙しいじゃねーべ」
「じゃあどういう意味?」
「あー!」
陣は未来の問いには答えず、突然思い出したように叫んだ。
「そうだ未来!オメにしてやりたいことがあったんだべ。ほんとは優勝した後にと思ってたんだけどな」
「え…」
未来だけでなく、周りの者たちもなんだなんだと陣のこれからの発言に注目する。
飛影はといえば、ふざけたマネをしやがったら殺すという物騒な目をしていた。