long dream@


□嵐の空中戦
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陣と幽助は、リングの上で向かい合う。


「ホレホレ、これ見てけろ。耳がピーンととがってるべ?」


しかめっ面をしている幽助に、陣は自分の耳を指差す。


「オレな、コーフンしたりワクワクしたりすっとこうなるんだ。いや〜こんなビンビンになったの久々だべ」


幽助と対戦することが楽しみで仕方ない、という陣の表情。


幽助は拍子抜けして、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。


「陣…ふふっ」


また見れた陣の笑顔。


未来はすっとんきょうな陣がおかしくて、笑ってしまう。


爆拳の手をはらった陣がみせた一面や、魔忍の闇を知り身構えていた未来だが…


(どの陣も本当の彼だと思うけど…。根底は、今の陣みたいに明るい人なんだろうなあ)


初めて会った時、一緒に空を浮かんだ時に彼がみせた顔は嘘じゃないと、未来は確信したのだった。


「あ、それからオメが爆のヤロぶっとばした時スカッとしたんだオレ。正直言ってあいつの不実さにはほとほとあいそがつきてたからよ」


こそっと幽助に言った陣。


これ吏将には内緒な、と付け加えて。


「ぷっ」


思わず吹き出した幽助。


「…ちっ すっとんきょうな野郎だなオメー。怒りにまかせてぶっとばしてやろーと思ってたのに毒気ぬかれちまった」


ぽりぽりと幽助は自分の頬をかく。


「あいつはあいつ。オレはオレだ。ギスギスした気持ちのまんまやりあっても楽しくねーべ」


陣は静かに妖力を高めていく。



「せっかく体はってんのによ」



陣の体の周りに爆風が巻き起こり、彼の足はリングの床から離れていく。


「わお…」


風を操り宙に浮いた陣に未来は目を奪われる。


彼の飛翔術を見るのは初めてではないが、やはり感嘆してしまう。


「陣がうらやましいなあ。私、空を飛び回るのが夢なんだよね」


未来は隣の蔵馬に話しかけた。


蔵馬が何か言う前に、割って入ったのは陣。


「へ〜未来は空を飛ぶのが夢だったんか?オレと空に浮かんだ時はめちゃくちゃ怖がってたでねーか」


不思議そうに陣は未来に言った。


「た、たしかに…」


実際、空の上はかなり怖かった。


夢と現実にはギャップがあり、未来は陣に何も言い返せない。


「くくくく…」


宙に浮くという凄技をいとも簡単にやってのけた陣を目の当たりにした幽助は、肩を震わせて笑っていた。


「すげぇぜ 。怒りなんざ完全にふっとんじまった。よーし力比べをしようじゃねーか!」


「始め!」


小兎の試合開始の宣言と同時に、幽助は陣を殴りにかかる。


しかし。


「なっ…」


幽助の拳は空振り。


陣はロケットのように空中に飛び上がってしまっていた。


「高ーい!陣選手はるか彼方の空中にいます!」


小兎が地上から陣を見上げ実況した。


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