long dream@
□光
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ドゴッッ!!
抵抗できない蔵馬を殴り、ふっ飛ばした爆拳。
「やめて!!」
飛影に止められた体を暴れさせ、未来が必死に叫ぶ。
その瞳からは大粒の涙が流れている。
幽助たちの前で未来が涙をみせたのは、初めてのことだった。
(未来…)
蔵馬は途切れそうな意識の中、彼女の声をどこか遠くから聴いているような心地でいた。
「蔵馬選手ダウンです!カウントをとります!」
「カウント?おいおい笑わすなよ。10カウントダウンで客が納得すると思うか?」
まったく馬鹿らしい、と小兎の発言を鼻で笑う爆拳。
蔵馬の胸ぐらを掴むと、その体を持ち上げた。
「くくく。これでダウンじゃねえぜ。試合はまだ続く」
ドゴォッッ
爆拳は蔵馬を持ち上げたまま、腹に蹴りを入れる。
「やめて…お願い…やめてよ…」
とめどなくこぼれおちる涙。
未来の悲痛な声も、爆拳には楽しみを増す一興でしかない。
「凍矢は島が欲しいとか言ってたけどよ、オレの本命は優勝商品のあの女なんだよなァ」
爆拳は蔵馬の胸ぐらを掴んだ手を少し高く上げると、彼の耳元で囁いた。
その台詞に、ぴくっと反応した蔵馬の指。
覆面は半死の蔵馬と号泣している未来を交互に見やる。
「飛影、未来から手を離しても大丈夫だよ」
「……なに?」
予想外の発言をした覆面に、飛影は思わず未来を繋ぎ止めていた力を緩めた。
(蔵馬…!)
その瞬間、ぱっと駆け出した未来。
「な、なんですって…!?」
何の問題もなく自分の結界を抜け出した未来に、瑠架は目を疑う。