long dream@
□蔵馬の秘密
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一連のやり取りを見ていた左京。
そして…戸愚呂兄弟。
「左京さん、優勝商品の未来を使って何かゲームをするんじゃなかったんですか?」
VIP席から一人出てきた左京に、戸愚呂弟が話しかけた。
「1回戦は様子見だよ。面白いことを思いついたから3回戦あたりでやろうと思ってね」
楽しみは先にとっておいた方がいいだろう?、と左京。
「あんたも悪趣味だねェ」
ニヤッと笑った戸愚呂弟。
彼にとって興味があるのは未来ではなく幽助だけだったが、左京のする事を止める気もなかった。
戸愚呂兄の方は、“ゲーム”とやらを楽しみにしているようにも見える。
幻海の読み通り、もうすぐ何かが起ころうとしていた。
・・・・
次の日、浦飯チームの一行はホテルの部屋で配られたトーナメント表を見ていた。
外出している覆面と出窓のところにいる飛影を除き、みなソファーに座っている。
「そういやーよう未来、昨日のオレの試合中、コエンマと何話してたんだ?」
幽助に問われ、未来はギクッとする。
「優勝商品になって大変だな、とか言われてたんだよ…」
「ふ〜ん」
肝心なことはふせた未来だったが、幽助も何も疑わなかったようだ。
浦飯チームが負けた場合を想定した話をしていたなんて、彼らの前で未来は言えるわけがなかった。
未来の元いた世界が見つかりそうだということも、言えない。
コエンマに誰にも言うなと念押しされたからというだけでなく…
みなの反応がこわかった。
おそらく“よかったな”と言ってくれるだろうが、未来はそう言われた時自分がひどく寂しい気持ちになることが予想がついていた。
だが、元の世界に本当に帰れることになったら、必ず帰るという選択をとることも確信している。
家族や友達と会いたいし、行方不明となっている自分が帰ることで安心させたい。
(こんなの、矛盾してるのかな…)
帰りたいのに、引き留めてほしい気持ちもあるなんて。
未来自身、コエンマに突然帰れそうだと言われ、頭の整理がついていなかった。
(ま、いいや!今はこの事は忘れよう!私は浦飯チームを応援することだけ考えとけばいいんだ!)
気持ちを切り替えると、未来は明るくなった。
コンコン。
誰かがノックする音に、皆の視線が扉に集中する。
「おい!早く開けろォ!」
「オイラたちが来てやったぜ!」
「この声は…」
聞き覚えのある声がし、未来は扉に近づく。
ドンドンッ
「早くしろよ!」
「はいはい、今開けますから…」
扉を叩き壊しそうになる二人に、未来は焦って扉を開けた。