long dream@
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リング上で向かい合う酎と幽助。
「いいか先に言っておく!オレの技は酔拳だ!酔うほどに強くなる!その不規則な動きで不意をつかれたり、油断した敵を翻弄する拳だ!」
「さ、先に言っちゃっていいの…?」
「だめだあいつ…」
最初に手の内どころを見せてしまう酎に、未来と鈴駒はズッコケる。
「ただの酔拳じゃ芸がねーな」
対する幽助は、いたって真剣な表情である。
「オメーにしかできねーとっておきの裏技がある。でなきゃあ面白くねーよなぁ?」
挑むようにまっすぐな幽助の目。
未来も、酎も…誰もがその瞳に引き込まれてしまうだろう。
「いい目だ。久しぶりに見られたぜ」
楽しめそうだ、酎がニヤッと笑う。
そんな酎に、未来は幽助と近いものを感じた。
「始め!」
小兎の掛け声で戦闘体勢に入った酎は流れるような動きで、彼の言葉通り幽助を翻弄し始めた。
「未来、ちょっとこっちに来い」
「何ですか?」
試合を見守っていた未来を、コエンマが手招きしてリングから少し離れた場所へ連れていく。
「未来が武術会の優勝商品になったと聞いた時は驚いたぞ。やはり異世界からお前が来たという情報が漏れていたようだな」
「私だって戸愚呂から言われて驚きましたよ。あの、幻海師範に私も武術会で何かやらされるかもしれない、って言われてるんですけど、そうなんですかね?」
1ヶ月前、幻海に夕食後忠告されたことは、ずっと未来の心に引っかかっていた。
「幻海がそんなことを…まあ、あり得んことでもないな。観客を楽しませるため、そして自分達が楽しむために本部が何か仕掛けるかもしれん」
「何やらされるんだろ…。私戦えって言われても出来ませんよ」
何もやらされない、とコエンマが言うことを期待していた未来は暗くなった。
「そう気を落とすな!お前が危険な目にあいそうになったら、幽助達が黙っとるわけないだろ!」
ワシもな、とコエンマが付け加える。
「…そうですね!」
(私には、みんながついてるもん)
コエンマに励まされ、明るさを取り戻す未来。
「それでは未来、本題に入るぞ…」
「コエンマ様、未来さーん!」
「…なんだジョルジュ」
ジョルジュに遮られたコエンマの声は不機嫌そうである。
「呼ばれてますよ」
ジョルジュがリングを指さした。