long dream@


□霊界トップ!酒界トップ!
2ページ/6ページ


「すごいお酒の匂い。あんな人、六遊怪チームにいたっけ?」


「六遊怪側の残り二人が彼いわく“不慮の事故”で死んでしまったので、補欠の酎という選手が出てきたんですよ」


コエンマと話していて状況を把握していない未来に、蔵馬が説明する。


補欠は各チーム一人、メンバーの誰かが死んだ場合のみ許可されるらしい。


「おっと蔵馬とかいう兄チャン、説明が足りないぜ。オレは補欠だが実力はチームNo.1!ジャンケンが弱いだけだ!」


酎が小兎からマイクを奪い取り、未来に話しかけた。


「六遊怪チームは補欠をジャンケンで決めたそうです!」


準備していた予備マイクで小兎が裏エピソードを解説する。


まさに実況の鏡である。


「よし、寝起きの運動だ。オレが行ってやるぜ」


ボキボキ体を鳴らしながら幽助がリングに上がった。


「ようやく起きやがったぜ浦飯ィィーー!」
「酎、ヤツをぶち殺せーー!」


観客席からは殺せコールが鳴りやまない。


「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」


「えれぇ殺気だぜ。おまけに酎の妖気は得体が知れねえし…。ま、大丈夫だよな!ムードは実質的にこっちが楽に全勝してるみてーなもんだからな」


たじろぐ桑原だったが、すぐ思い直す。


てめえは負けただろ、と彼につっこむ者はいなかった。


「桑ちゃんに関してはノーコメントとして、蔵馬と飛影は楽勝の圧勝だったもんね!」


(楽に…いやそれは違う)


桑原が未来に、それはヒドくねーか!?と言っているのを耳にしながら蔵馬は考えていた。


(是流の強さは本物だった。だからこそ飛影は未完成の必殺拳を出さざるを得なかったんだ)


蔵馬の視線は、ポケットに突っ込んだ飛影の右腕に。


(是流ほどの炎の使い手を焼き尽くす魔界の獄炎だ。召還した飛影の体も、無事では済まない)


“右腕だけで十分だ”


そう言っていた飛影。


その発言は、右腕を犠牲にして飛影が是流を倒したことを意味する。


(あの右腕はもう使えないだろう…)


窮地に立たされた飛影に気づいているのは、蔵馬と覆面だけだった。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ