long dream@
□霊界トップ!酒界トップ!
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「すごいお酒の匂い。あんな人、六遊怪チームにいたっけ?」
「六遊怪側の残り二人が彼いわく“不慮の事故”で死んでしまったので、補欠の酎という選手が出てきたんですよ」
コエンマと話していて状況を把握していない未来に、蔵馬が説明する。
補欠は各チーム一人、メンバーの誰かが死んだ場合のみ許可されるらしい。
「おっと蔵馬とかいう兄チャン、説明が足りないぜ。オレは補欠だが実力はチームNo.1!ジャンケンが弱いだけだ!」
酎が小兎からマイクを奪い取り、未来に話しかけた。
「六遊怪チームは補欠をジャンケンで決めたそうです!」
準備していた予備マイクで小兎が裏エピソードを解説する。
まさに実況の鏡である。
「よし、寝起きの運動だ。オレが行ってやるぜ」
ボキボキ体を鳴らしながら幽助がリングに上がった。
「ようやく起きやがったぜ浦飯ィィーー!」
「酎、ヤツをぶち殺せーー!」
観客席からは殺せコールが鳴りやまない。
「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」
「えれぇ殺気だぜ。おまけに酎の妖気は得体が知れねえし…。ま、大丈夫だよな!ムードは実質的にこっちが楽に全勝してるみてーなもんだからな」
たじろぐ桑原だったが、すぐ思い直す。
てめえは負けただろ、と彼につっこむ者はいなかった。
「桑ちゃんに関してはノーコメントとして、蔵馬と飛影は楽勝の圧勝だったもんね!」
(楽に…いやそれは違う)
桑原が未来に、それはヒドくねーか!?と言っているのを耳にしながら蔵馬は考えていた。
(是流の強さは本物だった。だからこそ飛影は未完成の必殺拳を出さざるを得なかったんだ)
蔵馬の視線は、ポケットに突っ込んだ飛影の右腕に。
(是流ほどの炎の使い手を焼き尽くす魔界の獄炎だ。召還した飛影の体も、無事では済まない)
“右腕だけで十分だ”
そう言っていた飛影。
その発言は、右腕を犠牲にして飛影が是流を倒したことを意味する。
(あの右腕はもう使えないだろう…)
窮地に立たされた飛影に気づいているのは、蔵馬と覆面だけだった。