long dream@
□炎vs炎
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飛影に背を向け、歩く是流だったが。
「いい腕だ。殺すには惜しい。オレと当たったのが運のつきだな」
背後から聞こえた低い声に、背筋が凍りつく。
「飛影!よかった…」
生きていた飛影に、未来に笑顔が戻った。
「オレの妖火に…耐える程の…妖…気…?」
唖然とする是流。
彼の目には、燃え盛る炎に包まれ、額の邪眼が怪しく光っている飛影の姿が映っていた。
そのすべてが、是流を恐怖で震えさせる。
「喜べ!貴様が人間界での邪王炎殺拳の犠牲者第一号だ!」
「邪王炎殺拳!あれは人間界では使えない、正真正銘魔界の拳のはず…」
魔界の炎を召喚した飛影に、蔵馬はまさか、と圧倒される。
「人間界では使えないはずなのに、飛影は使えちゃってるの!?」
「おっそろしいヤツだ…」
未来と桑原は、是流の妖気以上の熱さを、飛影の妖気から感じていた。
「右腕だけで十分だ。加減は出来ん…気の毒だがな。今はまだオレ自身でコントロールしきれん。だが近いうち完全な技にしてみせる」
まさに未完の奥義。
飛影の右腕には、黒い炎が渦巻いている。
「こ…これは危険すぎます!実況として不本意ではありますが、一時避難させていただきます!」
小兎は這々の体でリング上から降りていった。